ネタバレ入ります。












昨日の深夜、テレビのチャンネルを変えたら
ちょうど映画「初恋のきた道」をやってたので「おっ」と思ってそのまま観てしまいました。
ぼくは基本、男と女がどうのこうのという話にはゲンナリするタイプなんですが
(つまりほとんどのドラマは受け付けない(苦笑い))、
逆に単純で、事がほとんど起こらない純愛話は好きなんですよね。
上映当時の評判や、宣伝用スチールを見たりするとこれはそういう作品だったようで、
一度観てみたかったんですよ。

いや、評判通りでとてもほっこりというか安らかというか平らかというか、
じんわり染み入るようないい作品でした。
今だと簡単にストーカーとかメンヘラとか揶揄されそうなところもあるけど(苦笑い)、
個人的にはそのあたりは受け止める側の
個人差や器量というものにかかってくると感じています。
ほんとにヤバい、ほんとに危険というストーキング行為とかはダメだけど、
毎日届けられるたくさんの料理の中で自分の作ったものを出来るだけ印象に残してもらおうといつも同じ器を使うとか、
作った料理をすべて覚えているとか、
プレゼントしてもらった髪留めを何日も必死になって探すとか、
帰ってくると言った日に雪の中一日中外で待っていて体をこわしてしまうとか、
その体のまま町まで迎えにいこうと外に出て村はずれで倒れて二日間意識が戻らないとか、
こんなのは「いじらしい」「かわいい」「報われてほしい」ってレベルですよ。

そしてこういう話にありがちな「狭い村社会の無理解」というのもなくてよかった。
それどころか村中が彼女の恋を見守って受け入れてあげているところがね、
心から安心出来ましたよ。

あと観るまで知らなかったんだけど、これは現在と過去と二つの舞台があるのね。
現在は白黒で過去がカラーという演出もよかった。
そして現在も息子が母親を思いやったり、村人や周囲の人たちがやさしかったり。
それが押しつけがましかったり、妙に道徳的じゃなかったりするのがいいんですよね。
みんながごく自然にやさしい。
過去の恋の話がメインの作品だと思っていたけど、
現在の話もまた同水準で重要な話だったんだなと。
過去の二人の恋が二人の人生になり、それが様々な人とつながり、
息子もまたごく自然に二人の人生を受け継いでいる。
恋や愛情が、ただ二人だけのもので終わるわけではなく、
それが基になってたくさんの豊かさにつながっていく。
そういう深さや広さも感じさせてもらえました。

いいな、これ。
どこかでDVD安売りしてたりしたら買おうかな。