シオ(塩田)の大宮完全移籍が正式に発表されたか…
前々から話は出ていて、ほぼ確定とわかってはいたけど、
やはり正式発表されるときつい。

シオは2004年に流通経済大学から入団。
当時は土肥ちゃんが不動の正キーパーで出番はなかったけど、
それでもカップ戦で観るプレーはこちらに安定感と安心感を与えてくれていた。
2004年のナビスコカップ制覇はFC東京初の国内メジャータイトル獲得で、
前半に退場者を出し防戦一方だった浦和レッズとの決勝は延長含めて0点に抑え、
PK戦も制した土肥ちゃんにMVPが送られた。
だけどナビスコは予選リーグから決勝トーナメントまで
代表戦がある時におこなわれることが多く、
準決勝まではルーキーながらほとんどシオがゴールマウスを守っていた。
土肥ちゃんももちろん優勝に貢献したけど、
あの大会でのシオの貢献度は、やはり土肥ちゃんに勝るとも劣らないというやつだ。

その後も土肥ちゃんの控えとして過ごすことが多かったシオだけど、
土肥ちゃんが戦力外になり移籍していった2008年、ついに正ゴールキーパーの座に就く。
その年のヴェルディとの「アウェイ」でのリーグ戦、
2-1で逆転勝利し、土肥ちゃんとの直接対決に勝利したときのシオの姿といったらもう…
今思い出しても涙が出そうだ。

このままシオが正キーパーとして君臨することを誰も疑っていなかった。
だけど思いもよらぬ病魔がシオを襲い戦線離脱。
その間にゴンちゃん(権田)が正キーパーの地位を確保し、確立してしまった。
そのことに何の不満もなければ憂いもない。
だけど同時に、やはり「なぜこのタイミングで…」というやりきれなさもある。
仮にゴンちゃんが並のキーパーだったら
シオも簡単にポジションを奪い返せたかもしれないが、
ゴンちゃんは若手では群を抜いてるキーパーで、
土肥ちゃんと微妙に立場は違うが、
同じように第三キーパーとして代表に呼ばれ続けるほどだったから、それは難しかった。

正キーパーとしての実力を充分に備えながら、
11年をほとんど控えキーパーとして過ごしてきたシオ。
だったらそれが敗者の経歴かといえば、断じて違う。
何度でも、何回でも、声を大にして言う。
断じて違う!


個人的に、控えキーパーは時として、
正キーパーより重要なポジションだと思っています。
「控えにあいつがいてくれるから」という思いがどれだけこちらを安心させてくれるか!
仮に控えが明らかに力が落ちるキーパーだとしたら、
正キーパーに何かあったときにどれほどの恐怖を覚えるか。
実際には何もないにしても、「なにかあったら…」と考えるだけで不安が心を吹き抜ける。
極端なことを言えば、実力ある控えキーパーなく試合をするのは、
「特攻」に似た恐怖感と絶望感があるんですよ。


ぼくの中で、土肥ちゃん、シオ、大志(遠藤)がいた頃の東京キーパー陣は鉄壁でした。
第一から第三まで序列はあったけど、
それは絶対的な差ではなく、土肥ちゃん、シオはもちろん、
大志のプレーも第一キーパーで不安はなかった。
まるで三重の強固な城壁に囲まれたような安心感。
もちろんキーパーだけに頼るようなディフェンスでは
どれだけ守護神が優秀でも戦いようはないけど、
最後の砦が強固でありすぎるに越したことはないですから。

実際、シオが抜け、廣永もいなくなった今、
ぼくも含めて圍のプレーをほとんど観たことがない人間には、
感情的な寂寥感だけでなく、実質的な不安感も襲ってきているはずです。

それだからこそ、シオが「1」の背番号を背負うことに反対する人は誰もいなかった。
正キーパーがつけることが半ば常識化されている「1」だけど
「後方のさらに後方」から東京を守り、支え続けてくれたシオの価値を誰もが知っている。
ただの年功序列ではなく、
もう一つの「守護神」の意味を教え続けてくれたからこそ、
シオが「1」にふさわしいと、東京に関わる人全員が感じていたと思っています。


そしてだからこそ、ここまで東京に尽くしてくれたシオが、
試合を出るために環境を変えたいという想いを無視することは出来ない。
感情だけでいえば、すがりついても、土下座してでも引き留めたい。
でもそれは、シオにプレイヤーとして死ねと言ってるのと同義だとわかってもいるからなあ(泣)。

ゴンちゃんとシオに、そこまでの差があるとは思っていません。
でも正キーパーがポジションを失うというのは、
怪我か、
よほどにプレーの安定感を欠き味方の敗北を招きかねないほどひどい状態になるか、
キーパーに問題がなくてもチームそのものの状態がひどく悪く、
それをどうにかするための「劇薬」としての変更以外には、まず考えられない。
怪我は予想がつかないし、
チーム状態がそこまで悪くなるのはこれまた予想がつかないし、
そもそもそうならないための努力を第一に考えなければならない。
そしてゴンちゃんのプレーの安定感は、彼のストイックさも考えれば、まず崩れない。
シオの移籍を「敗走」というやつもいるかもしれないが、
ぼくらは全力で否定するし、
またいま挙げた理由をもってしてもそう言い募る輩はただの屑だから、
言うことを聞く価値もない。


「FC東京幻の正ゴールキーパー」とも言うべき塩田仁史。
大宮に行ったからといって必ずポジションが得られるとは限らない。
だけど心から応援するし、心からポジションを奪取してほしいと思う。
大宮なら近いから見に行けるし、味スタに来たときだって行ける。
そして再来年、大宮のゴールを守るシオと戦いたい。
ものすごく複雑な気持ちになるだろうけど、それでもね。


そしておそらく来年は、ゴンちゃんが背番号1を背負うことになると思う。
土肥ちゃんとシオが、それぞれ違う形でありながら同等以上の意味を与え、
価値を付加し、重さを増しながら背負ってきた番号だ。
その前にはJFL、J2を戦い、東京をJ1へ昇格させ、
今の土台を築いてくれた「プロクラブ・FC東京」初の正キーパー
堀池さんの背負ってきた番号でもある。
その意味と重さは誰よりもゴンちゃんが感じていると思うけど、頼むぜ。
おれたちがスタンドからその背中を見ただけでオーラを感じ、
圧倒的な信頼感を覚えられるような、絶対的な守護神になってくれ。
実は今、おれの中ではそのイメージがすでに湧いているのだ。
こういうの自分の中では珍しいから、本当に実現化すると思っている。


そしてシオ、11年間本当にありがとう。
誰よりもFC東京のゴールキーパーだったシオのこと、絶対に忘れない。
月並みだけど心から。
これからもずっと応援するからがんばって!!