宮城谷昌光さんの「草原の風」を読み終わりました。
これは古代中国、後漢王朝を開いた光武帝・劉秀を描いた物語で、
ぼくにとっては禁断の書だったため、今まで手が出せなかったのです(照)。

後漢はおそらく日本で一番有名な中国古代王朝。
なにしろ三国志の最初の舞台、というよりは、
あの時代を主導したある意味真の主人公である曹操が死ぬまで(名目上は)続いていた王朝だからね。
むしろ三国志の主要舞台は後漢と言っていいくらいだ。

曹操の死後、息子の曹丕が後漢最後の皇帝・献帝から禅譲(国を譲る)されて興したのが魏王朝。
その後漢を創った初代皇帝が光武帝になるわけです。


で、なんでこれが禁断の書かというと、
ぼくは光武帝の小説を書きたいなーとずっと思ってまして。
そのくせ他の人の作品を読むとすぐに内容に引っ張られてしまうため、
これを読むと引っ張られてますます書けなくなる、と思いこんでたものですから(照)。

でも今回呼んでみて、意外とそんなことなかった。
なんというか自分の中でいろいろなものが固まってきていて、
それがちょっとやそっとじゃ他の人の影響を受けないものになってきたような感じがします。
これもあまり度が過ぎると、頭の硬い頑迷なだけの脳になってしまいますが、
なにか「土台」のようなものができてきたというのは、とてもありがたい。

そしてそれどころか、なんかいろいろ「スッ」と入ってきたような感覚もあります。
これまで自分の中でまとまらず、
カオスに陥っていた光武帝や彼の時代、彼の住んでた世界、彼の味方、敵。
そういうものを入れられる「器」が自分の中にできていて、
自然に取り込むことができたような感覚。
これは自分の中では驚きと喜びとが同時に強く湧いています。
これで書ける見通しがついてきた…


もっとも、まだまだ知識が足りないし、
それらをきちんと整理もしてないし、
さらにそこから登場人物たちの人格や想いなんかも完成させられてないしで、
まだちょっとかかるかもしれないけど、
それでもようやく道筋が見えてきた実感があります。
ぶっちゃけライフワークにしたいくらいの題材だから、
自分でも浮ついているのです(照)。


そんなこと言いつつ、結局書かないなんてことになるとみっともないけど(爆)、
でももう一度「後漢書」から読み直して、しっかりいろいろまとめたいと思っています。
あ、あと塚本青史さんも光武帝の小説書いてたな。
そっちも読んでみるか(笑)。