「真田丸」に遅ればせながら参加して、毎週欠かさず観ています。
そして時代劇チャンネルでは1985年にNHKで放送していた、
池波正太郎先生原作の時代ドラマ「真田太平記」がやっている。
約30年前のドラマで、大河ではないけど、そうだと言われても信じるような造りです。

真田親子のキャストは、昌幸:丹波哲郎、信幸:渡哲也、そして信繁:草刈正雄。
今回の「真田丸」での昌幸のキャスティングは、
やはりこれが理由の一つだろうなとは、きっと正しいでしょう。


草刈正雄さんの信繁は、精悍で、若き名将のイメージそのままといってよく、
おそらくこちらの方が「真田幸村」のステレオタイプに近いと思う。
だからこそ堺雅人の信繁がまた、新しくて味わいのある信繁になるんだけど。


でもやはり「真田太平記」を観てると、
お父さん、丹波哲郎と草刈正雄がそれぞれ演じる「昌幸」の違いが趣深い気がします。
どちらも豪放磊落という点では変わらないけど、それぞれタイプが違う。

丹波哲郎さんの方は声がデカいタイプ(笑)。
これは丹波さんのキャラクターの影響が大だろうけど、父親像とすれば、
明るく積極的に家族と会話(というより一方的に話す)するタイプだ。

で、草刈正雄さんの方は寡黙なタイプ。
必要最小限のことしかしゃべらないけど、
そこに人間性や考え方がしっかりこもっていて、
それが相手にも伝わる、無口だけど能弁な人。
どちらかといえばこちらの方が木訥(ぼくとつ)で
「田舎の親父」という雰囲気が強く、草刈正雄さんのイメージとは真逆で、
そこもまたおもしろい。
草刈さんもいろいろ考えて役作りしたんだろうな。
丹波さんと比べられることも考慮した上で。


そういえば先週は、真田親子と徳川親子をさりげなく対比してたような気もした。
江戸へ帰るよう命じられた秀忠が父親に真意を問い、
自分で察しようとしない頼りない息子に腹を立て怒鳴りつける家康に対し、
同じように家康の真意が見えない信幸・信繁兄弟に、家康の狙いを説明してやる昌幸。
そんな父親に感心する真田兄弟で、
そのことに家康と同じように落胆したところもあったろうに、
「まだ自分の方がこいつらより上だ」と確認できた昌幸は、
無言でどこか安堵と勇気を得たような。
家康と昌幸は立場がずいぶん違うから、そのせいもあるだろうけど、
そこも含めてね、対比がおもしろかったです。