ネタバレ入ります。


このときのために両陣営に別れた真田親子。
信幸兄さん、がんばった。
本多のお義父さんが命張ってくれたからというのが大きいが、
その原動力になったのは信幸兄さんの「言々肺腑を突く」という心意気だったからね。
それはこのときだけのことではなく、それ以前、何度も会って、
本多のお義父さんが信幸の真情や真価を評価してきたからというのもあるはず。


本多のお義父さんは凄まじいまでの直情径行だけど、
それだけに家康も本気と悟らざるを得なかったんだろうな。
そして「殿に逆らったのは生まれてはじめてじゃった…」と涙を流したお義父さん。
信幸は心から一生頭が上がらないし、
心から一生敬意と感謝と、もしかしたら憧憬も持って生きていくことになるだろうかな。


刑部様も本多のお義父さんとやや異質ながら、
一本気でまっすぐな武士としての生き様と死に様を義息に見せてくれた。
刑部様のように生きたいというのは、信繁の本心だったんだろう。


家康のやりようは、真田視点からすればむごいかもしれないが、
徳川視点からすれば、温情を残しつつの復讐だと思う。
二度も負かされて、しかも一度は膝下に入りながら敵対したんだから、
ほんと、殺されても文句は言えない。
最も恐ろしいのは「文句は言えない」と、周囲の人や民衆も思うだろうということ。
主戦場ではなかったから目立たなかっただけで、
客観的に見れば、小早川秀秋以上の背信者だからね(苦笑い)。


それにしても草刈正雄さんの昌幸は何度観てもすばらしい。
無骨で田舎臭く、やや視野は狭いが決して器量は小さくなく、人としての深みもある。
ぼくはすべての時代劇を観てるわけじゃありませんが、
もしかしたら歴代の真田昌幸の中でナンバーワンかもしれないな。
来週で退場か…


それはつまり、ついに信繁が真の主役になるということ。
もちろん今までも主人公だったけど、
ここまではどちらかというと秀吉や昌幸の補佐としての立ち位置が多かった。
だけど秀吉も三成も昌幸も死に、信幸もいなくなったとなれば、
ある意味、真田の「本流」は信繁に受け継がれざるをえない。
どういう方向にゆくのか、後世のぼくらにはわかっているけど、
それを忘れつつ観るのが一番おもしろいかもしれない。


あと茶々さんもいい演技だなあ、と、つくづく思う。
「本人にその気も悪気もないのに、関わる人をすべて不幸にしてしまう」
という雰囲気が出まくりだからね。
しかも本人、まったく自覚はなく、
それどころかそんな考えすら持たずに死んでいくんだろうな。
たくさんの人を道連れにして。


そして今回のサブタイトル「信之」。
事情は知っていたから先週の予告の段階で涙出そうな気持ちだったよ。
でも家康に対するせめてもの抵抗という意思も込められたと知り
「おお、なるほど」という気分にもなった。
信之兄さんはこれから苦労を一手に背負って生きていかなければならないけども、
おそらく強靱さでは親子三人の中では随一。
その様を見せていってほしいよ。
「深夜バスだろうがブンブンだろうがカブだろうが、全部耐えたキミなら平気だろぉー」
と、どうでしょうから離れられない人間は、
そんな風にヒゲみたいなことを言ってしまいそうになるが(笑)。
でもブンブンや深夜バスよりキツいんだろうなー(苦笑い)。