ネタバレ入ります。


今週はメインキャラだった名瀬の兄貴とアミダ姐さんが亡くなってしまいましたが、
個人的にはイオクくんの扱いの方にショックを受けているのでそっちを書きます(爆)。


いやあ、二期に入ってから登場したキャラの中で、
じつは一番のお気に入りだったんですよねえ、イオクくん。
女子的にはジュリエッタちゃん一押しですが(笑)、
キャラとしてのおもしろみとか広げ方とか将来性とか、
その辺に関してはイオクくんがダントツだったんですよ。


これまで数多くのポカをやり、しかもそれがポカのレベルでは収まらず、
さらに本人がポカだと思っていない真性のアホ(苦笑い)。
だけど芯は純粋で、部下思いでもあり、
またジュリエッタのように純心からくる意志を持つ者には素直に感じ入る。
性情は、無用に残忍ではなく、冷酷でもない。
自分の真情は率直に表現し、良くも悪くも裏表はない。
つまり育ちの良さからくるおおらかさ、器の広さ。
そういう資質を持っている男だと思ってたんですよ。


そんな人間像だから、いずれ開眼し、大成し、
将来ギャラルホルンだけでなく、
地球圏全体のために働ける人間にもなれる可能性があるし、
そういう可能性があると思わせてくれる展開に持ってってくれるんじゃないかと期待してたんだが…アカンわ、あれは。
無抵抗の民間人を虐殺させてはダメだ。


ハシュマルが出てきたとき、
プラントの民間人を全滅させたのも元をただせばイオクのせいで、
その罪はまぬがれないけど、あれはまだ本人の意思は関与してなかった。
だけど今回は、明らかに自分の意思でやってしまった。
それもしつこく。脱出用のランチまで狙うほど執拗に。
あそこまでやってはもうかばえない、フォローできない。


あれも残酷さや残忍さからきてるわけじゃないんですよね、きっと。
単に残酷さの自覚がないのと、
タービンズや鉄華団のような貧民階層出身者の命は自分たちに比べて価値がないという、
育ちの良さから来る無知や視野の狭さが出てしまったということでしょう。
きっと輸送船やランチの内部、
手足がちぎれて血まみれになっている女や子供、
胴がぶち切れて下半身だけが浮いている赤ん坊を見たりしたら、
自分のしたことの重大さや罪深さ、恐ろしさを自覚すると思う。
そういう「浅さ」がイオクにはある。
それを見て、自分の愚かしさをようやく自覚し、人格的成長を遂げ、
罪滅ぼしも含めて、真っ当な道を歩むようになるかもしれない。


だけど現実にやっちゃったからにはもう許されない。
作中の人物や自分自身にではなく、視聴者に。
あの坊ちゃん、今週はまだ完全に死んだ描写は出てこなかったけど、
仮に生きていて再登場があるにしても、作中で殺さない限り、
もう視聴者が納得しない。
実際の歴史では、虐殺をおこないながら英雄として名を残す人もいるし、
ぼくはそっち方向に行ってくれてもいいんだけど、
視聴者層からすれば、それは難しいだろう。


スタッフもきっとそのことはわかってるはずで、
だとするとイオクくんは最初から殺す予定で作ったキャラだったんだなあと、
それがすごく残念でたまらないんですよ。
今は下手くそ以下でチームに迷惑をかけまくってるけど、
将来スーパープレイヤーになる才能がチラホラ見えているサッカー少年を、
それを見抜けなかった監督やコーチが無駄に使い潰してしまったような。
それもわざとレッドカードが出るような、悪質なラフプレーをやらせる形でね。


どうせ殺す予定だったら、
最初からもうちょっと殺されても惜しくないタイプにしてほしかったなあ。
そういうタイプじゃないからこそ殺すのにいい味が出るというのもあるかもしれません。
イオクくん自身も「銀河英雄伝説」のフレーゲル男爵タイプだという感じはありました。
だけど男爵よりはずっと見どころがあるというか、希望があり、
そういうところが彼の魅力だと感じていただけに、
結局「フレーゲル男爵のまんまでした」ってオチだったことが、
悪い意味で期待をはずされてガックリしてしまったんですよ。


もうひとつ副産物的にガッカリしたのは、イオクくんの部下たちの資質かな。
細かな心情や忠誠の根拠はわからなかったけど、
イオクくんの部下たちは、決して無能ではないと思ってました。
少なくとも何人かは有能な人間はいるんじゃないかと。
今は上司が言うことを聞かないから真価が発揮されないけど、
イオクくんが目覚めた暁には、
彼らにも自身の能力を存分に使える機会が得られるんでは…
と思ってたんですけどね、
民間人の虐殺を誰一人として制止しようともせず、ボイコットもせず、
諾々と従うだけなら、こりゃ話にならんわと。
ブリッジ要員やモビルスーツパイロット以外にも部下はいるんだろうけど、
それでも一人もいないではねえ。


さっきも書いたように、イオクくんが死んだ描写はハッキリ描かれていないし、
あきらかに死んだなと思わせながら実は生きてました
(あるいは死んだか重傷と思ったらほとんどかすり傷だったとか)
っていうのがちょいちょいある作品だけに、
しばらくしたら再登場、
それどころか来週いきなり、
多少のケガをしてるだけで普通に現れるなんてことは充分考えられます。
だけどさっきも書いたように、
彼はどうあっても死なせる展開にしないと視聴者が納得できなくて大荒れになり、
「くまみこ」みたいに作品すべてが酷評されて終わることになりかねない。


もしかしたら監督やスタッフは、そういうひねくれた作り方、発表の仕方をして、
視聴者が荒れるのを見て楽しみたいと思ってやったのかもしれないが(笑)、
でも制作サイドやスポンサーからすると、
ディスクやプラモの販売にも悪影響が出るだろうし、
ありえないだろうからな(苦笑い)。


他のキャラで気になったのは、
ジュリエッタちゃんも着々と阿頼耶識へたどり着く道を歩いているなあと(苦笑い)。
もっとも、ヴィダールがなんとか止めるような気もしないでもないんだが。
アインの記録や末路を見せたりして。
ジュリエッタちゃんの場合、「それでもなお」と言いかねないが、
そうなったらさすがにもう止められないかなあ…


個人的に「イオク・ロス」のショックが大きくて、
名瀬の兄貴やアミダの姐については、また今度ですわ(苦笑い)。
ただ、残ったタービンズについては鉄華団がまとめて引き受けそうな気はしてます。
元タービンズということでギャラルホルンに犯罪者扱いされる可能性もあるが、
そのあたりは「首謀者は死亡。他に証拠希薄」ということで、
マッキーがなんとかするんじゃないだろうか。
というかオルガが噛みついてでもやらせるはずだ(笑)。


マッキーにしてもそのくらいの事後処理はこれからのためにもやるだろう。
鉄華団に対してだけでなく、ラスタルへの牽制の意味も込めて。
イオクが使用禁止武器を持ち出したという証拠、
少なくとも保管庫を使用したという状況証拠はつかんでいるわけだし、
それを材料にラスタルたちに駆け引きしたり譲歩を引き出すことはできるはずだ。
ラスタルにしてもこれは元々イオクのスタンドプレーだし、
ラスタルが考える大勢には影響もないし、
自分にこれ以上火の粉が降りかからないようにするためにも、
比較的容易に受け入れるだろう。


といいつつ、なんかマッキー、クーデター起こしそうな雰囲気もあるし、
そうなればギャラルホルン内でもタービンズのことなんてどうでもよくなって、
なし崩し的にウヤムヤになるかな(苦笑い)。


しかしこれでクジャン家はオジャンだなあ。
当主が死んだか長期活動不能となれば、衰退は避けられない。
後継の当主もいるかもしれないが、
アレが当主をやってる時点で他に人材がないって丸わかりだからな(苦笑い)。
もっとも、イオクくんが正妻の長男だから継げたというだけで、
次男がいたり、あるいは妾の子供がいたりして、
そいつがすばらしくキレる男で、「蓋」がはずれて当主の座に就けるとしたら、
返ってクジャン家は繁栄するかもしれないな。


とするとイオクくんに有能な部下がいなかった理由も見つけられるかな。
実力のある部下はすべてそいつが囲っていて、
イオクくんには忠誠心はあるけど能力は低いという連中が集まっていたのかもしれない。


もっとも、そこまで掘り下げたり広げたりする余裕はないだろうから、
やっぱりこのまま名前もほとんど出ず、
衰退していくだけだろう、クジャン家は(苦笑い)。


そしててっきり今週出ると思ってたバルバトス・ルプスレクス。
次回はお葬式っぽいし、
来週出るとすれば最後のシーンにちょこっとがせいぜいで、
次々回が本格参戦かな。


まあ今週はこの辺で、残念さを託(かこ)って終わりにしようかあ。