ワールドカップの出場枠が増えることが決定して、賛否両論飛び交っているみたいです。
「大会のレベルが落ちる」「オイルマネー、チャイナマネーが欲しいだけ」など、
基本的には否の方が多いのかな。
ぼく個人もそういう側面もあるだろうなと思っていますが
(側面じゃなくて正面でもいいですが(笑))、
レベル云々については長い目で見れば、むしろ上がっていくだろうなと思っています。


理由はいろいろありますが、その前提として、
まずは何をもってしてレベルの高低を決めるのかを考えてみたりしました。
「レベルが下がる」とする理由の最たる物は、
「世界的強豪国と新興国の差」だと思います。
試合内容は一方的で、
点差も下手すると10-0とか15-0とか、そんな試合が続出するんじゃないかと。
ただこれは、「国同士のレベルの差」で「大会のレベル」とは必ずしも一致しない。


「レベルの低下」で心配されるとすれば、そういう大差がつく試合をすることで、
強豪国のレベルが下に引っ張られて落ちるということだと思いますが、
これはまずありえない。
だって今だってヨーロッパ予選でも、
圧倒的実力差がある国同士の試合なんて毎回おこなわれているのに、
上の国がレベルダウンするなんて起こってないんだから。


それに初出場の新興国が必ず惨敗すると決めつけるのも早計でしょう。
初出場じゃないけど、
この前久しぶりに本大会にやってきたニュージーランドは、
グループリーグ三分けと見事な成績だったし、
日本だって初出場のフランス大会、三戦全敗だったけど、
それぞれ0-1、0-1、1-2と、決して惨敗ではなかった。


結果ではなく試合内容とか戦い方でレベルを云々言われたら、
そりゃどうしようもないかもしれないが、
それを言い出したらヨーロッパでも中堅国は日本と大して変わらないし、
むしろ内容としては日本より劣ってるものだってある。
そういう国の「レベル」は「ヨーロッパの国だからOK」とするのなら、
それはちょっとおかしいでしょう。


また「結果にしろ内容にしろ大差がつく可能性が高い試合があること自体が世界最高峰の大会としてありえない」というのもあるでしょうし、
そこも言われると確かに厳しいかもしれない。
だけどその辺は強豪国同士の試合にお任せして
(そういう試合はこれまで通りハイレベルなはず)、
もっとサッカー界全体のため、長期的に見るべきところもあると思っています。


当たり前ですが、強いところと公式戦で、
しかも世界大会で戦うって、それだけですごい経験です。
学ぶこと、学べることもケタ違いでしょう。
そういうものを持ち帰って、精進し、さらに強くなるというのは充分ありえる。
そんな国が増えていけば、地球全体でレベルの「底上げ」ができてゆくことになり、
それはサッカーそのものにとって有益以外の何物でもないです。


そして数年、十数年、数十年単位で、
それら国が前や上の国を追い越していくことだってありえるわけです。
それは今現在「上」にいる国が、
停滞し、腐敗し、衰退していくことで入れ違うという形もありえるでしょう。
そのときもし「下」が育って、
彼らに変わってサッカーを担っていかなければ、
サッカー界そのものが衰退していくだけになってしまいます。
そういう事態のためにも必要な措置でしょう。


ついでに、目には見えない形だけど、
すでに「下」も「上」のレベルアップに貢献してると思いますよ。
この前の最終予選のタイ戦で、
日本の結構な数の人が
「このままだと抜かれるな、やべえな」と実感したんじゃないでしょうか。
こういう「下からの突き上げ」が上のレベルアップをうながす効果は確かにあります。
そしておそらく、ヨーロッパや南米の強豪国にとって、
日本を含めた新興国は、こういう役を担っているところもあるんじゃないでしょうか。


で、本大会出場のハードルが下がることで最もわかりやすい効果は、
単純に「本気」になる国が増えるということです。
「もうちょっとがんばれば本大会に出られる」と思えば、
協会も選手もサポーター(国民)も、メチャメチャ本気になりますよ。
そして本気になればなるほど、レベルは急上昇する。

もう20代くらいの人たちだと話でしか知らないだろうけど、
本大会初出場を懸けた1997年の最終予選。
あれほど日本中が「本気」になったことはなかったんじゃないかなあ。
あれだって前大会の「ドーハの悲劇」で「あとちょっとがんばれば行ける」と、
国中が実感できたからってのも大きいはずですからね。


あとねえ、お金が目的だろうというのも、
ただ非難するだけだとちょっとなあ、とも思ってます。
まあFIFAの役員や職員が不正に着服して私腹を肥やしているというのなら、
それは問題ではあるけれど、
お金を儲けること自体は悪いことでもなんでもないんですよね。
お金がたくさんあれば、できることもたくさんできるわけで。
それに非難している人たちも、
法に反しない、まっとうな形で自分が大金をもらえるとなったら、
なんのためらいもなく喜んでもらうでしょう(苦笑い)。
今書いたように、不正で大金をせしめてるなら、それは非難すべきだけど、
そうじゃない(その証拠もない)というのなら、
一方的に「悪!」と決めつけるのは、ちょっと不公正かもしれない。


だから個人的には、今回の出場枠増は、悪いことばかりではないと思っています。
(この考えに)アブドゥルの魂も賭けよう(笑)。


それより懸念の大きなものは、
試合数の増加による選手の疲労や故障による選手生命や、生命そのものの危機。
それから大会運営に対する開催国の負担の増大。
ほんとに死者が出たりするからね、サッカーの試合で(汗)。
その辺についてはこんな解決案も考えたりしてますが、どうかなあ(苦笑い)。

「冬・グループリーグ」「夏・決勝トーナメント」で分けるのもいいかもな
http://suntu500.blog.jp/archives/1063645977.html