ネタバレ入ります。


久しぶりにいい読み切りマンガを読んだ…


アビの日」は今週のモーニングに掲載されていた第4回THE GATE編集部賞受賞作品で、
フィンランドへ留学した日本の大学生を主人公に描かれています。
http://morning.moae.jp/magazine/morning

青年誌だし心の嫌な部分をえぐられるような話かと思ったんですが(そういう面もありましたが(苦笑い))、
予想以上に読後がさわやかな作品で、最近ではちょっと珍しいかもしれません。


というよりこういうのが受賞して掲載されるということは、
人の心の暗部をえぐるようなドギツい内容が当たり前の青年誌に少々うんざりしはじめた人が、
読者にも編集者にも出てきたのかもしれない。
じつはぼくもちょっとね(苦笑い)。


青年誌は少年誌では描けない、そういう部分こそが魅力で、
存在価値と言ってもいいくらいかもしれない。
だけど最近は、青年誌と少年誌の中間のような雑誌も普通に存在し
(ぼくの中ではガンガンやアニマルや別冊マガジンがそんな感じ)、
それらのドギツさと差別化を測ろうとすると、
より強烈な内容や描写にしないといけなくなる。
ぼくの好みからすると、ちょっとそこは辟易するところがあり、
人気作でも敬遠することが多いんですよね。


それはともかく「アビの日」ですが、フィンランドの高校の雰囲気とか、
国自体の教育方針とか、日本との差違とか、
そういう部分が描かれていてとてもよかったです。
作者さんが取材したのか、それとも本当に留学経験があるのかもしれないが、
後者ならなおのこと作品に価値や重みが増すね。


この作品が目に入ったのは、ぼくが最近、北欧の各国に関心があるというのも理由です。
北欧は、国土は狭いわけではないけど人口は多くなく、巨大産業があるわけでもない。
だけど「幸福度の高い国」ランキングの上位に必ず入ってくる。
そのあたりに惹かれて、いろいろ調べたり本を読んだりしてるものですから。


このマンガでも書かれていたけど、
フィンランドの教育は「1人の100歩より100人の1歩」を方針にしているそうです。
早々に単位を取って2年くらいで卒業してしまう子もいれば、
三年、四年と時間をかけてじっくり理解してから卒業する子もいる。
それぞれのペースで、一人も脱落させずということ。


ぬるいと見る人もいるだろうし、それはそれで間違いではないとも思う。
競り合うことで伸びる力も、発揮される才能もあるからね。
ただ個人的には、許されるならこういう学校で学びたかったなあというのはあります。
ぼくは最近になってようやく自覚したんですが、競争とか苦手っぽいので(苦笑い)。
いや、戦いや勝負事は好きですが(じゃなきゃサッカーファンもやってない)、
自分自身がそういう世界に入って生き残れるほどのものは持っていないというか。
だから勝負の世界で戦い、生き残っている人たちは心から尊敬です。
と同時に、だからって自分が存在として劣っているとは思わない。
のんびりのんびりやっていくのが合っているというだけでね。


そんなわけで「アビの日」で描かれていたフィンランドの学校は、すごくあこがれます。
しかもこれで成果が出ているんだからなあ。
フィンランドの学力は世界トップクラスだそうです。


なんにせよ作者の小森江莉さん、これから注目だな。


…しかしなんというか、今回の「アビの日」だけじゃなく、
最近は本当に思いもかけず北欧関係のものが目に入ってくることが多いです。
意識しているから目につきやすいというのもあるかもしれませんが、
でもそれだけとは言い切れない偶然もよくあるんですよ。
これは北欧へ行けってことなのかなあ(苦笑い)。