ワードプロセッサー、略してワープロ。
手書きとパソコンの過渡期に現れたハイテク機器。
ハイテクって言い方がバリバリにアナクロですが、
当時を知ってるとそういうイメージなんですよ(笑)。
先述したように結果から見れば、PCが現れて駆逐されちゃった器具だけど、
でもしばらくいろいろ悩ませてくれたのは覚えてる(苦笑い)。


何を悩んだかというと、
そのうちワープロで書いた原稿でなければ受け付けてくれなくなるかも、という話がチラホラ聞こえてきたこと。
特に出版関係でなくとも、社会全体がね。
そりゃあ汚い字より読みやすいきれいな字で書かれてる方が誰でもありがたいからね。そこはわかる。
でも当時の自分にとってキーボードは未知の世界。
とてもじゃないけど使いこなせる自信はなかったんですよねえ。


結局は「習うより慣れろ」の格言そのままに、
必要に駆られて少しずつやってたら、
いつの間にか手書きと同じかそれ以上のスピードで文章書けるようになってしまっていたから、
人間ってすごいって思う(笑)。
当然いま書いてる日記もキーボード入力です(笑)。


で、それはそれとして我が家にも一応ありました、ワープロ。
こういう最新機器(?)はたいていぼくより親父の方が反応が早く、
PCも親父が先に買ってきたものですが、ワープロに関してはぼくが買いました。
「ワープロじゃなきゃダメ」の時代が近づいていると思うと、
さすがに買って慣れなきゃと思ってね(苦笑い)。
ネット接続なんかできない安いもので、
どこのメーカーのものだったかも忘れたけど、
親指シフトじゃなくJIS規格だったから富士通じゃないのは確かだ。
富士通は「親指シフト」っていう独自の文字配列を採用していたからね。
あれは文章書くのには向いてたそうだけど、
あそこからPCに移らなきゃいけなかった人はしばらく大変だったろうな(汗)。


購入時期は1998年くらいだと思う。
この時期にもPCはもちろん売ってたけど、
ノートパソコンなんて日本の住宅事情にやさしい大きさのものは主流ではなく(ワープロはまさしくノートPCとうり二つのデザイン)、
デスクトップにしてもブラウン管テレビに匹敵する大きさで、
価格も絶対に6桁以上。
しかもPCでワープロをやるにはワープロソフトなんてものを別途購入しないといけないとなれば、
そりゃ直接ワープロ買いますがな(苦笑い)。
当時はネットがここまで普及するとは思わなかったし、
PCでやりたいことと言えば文章を書くくらいでしたから特にね。
それにただ好き勝手に物を書くだけなら、
ワープロソフトなんてご大層なものはいらず、
メモ帳さえあれば充分だということも知らなかったし(苦笑い)。


文字配列をはじめ文章を書くには今のPCとほとんど同じやり方でOKでした。
ただ変換機能がちょっとめんどくさかった気がする。
細かいところは覚えていないが。


で、このワープロでちょこちょこ文章を書いてはいましたが、
一つどうしてもやりたかったのが長編小説を書くこと。
それまで短編の真似事みたなのは書いてたけど、
一つの(文庫)本にする分量を書いたことはなかったんですよ。
でもそれだとダメだし、一度はしっかり書ききって、
自分でも長編を書けるという実績と自信が欲しかったんです。


とはいえ一次小説ではなく二次小説でしたけどね(照)。
でもまあとにかく長編分を書ききれればなんでもよかったし、
一つ書きたい材料もありましたから。
当時、富士見ファンタジア文庫から発行してて、
OVAやTVアニメにもなった「それゆけ! 宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」。
ぼくはこの作品が結構好きだったので、
この中の白鳳院綾乃エリザベスというキャラと、
自分が作ったオリジナルキャラを主役にしての二次小説を、
慣れないキーボードで悪戦苦闘しながら、なんとか書き上げました。
400字詰め原稿用紙にして約250枚。
文庫本一冊にはなる量で、これは一つの自信になりましたよ。

そういやセンチメンタルグラフティの短編もちょっと書いたな…(照)

そのあとしばらくして我が家にもPC様がおいでになり、
必然的にというかごく自然にというかワープロ様はお役御免になってしまいましたが(苦笑い)、
でも今でも最初の長編小説を書き上げさせてくれた機器として、
個人的には思い出深い器具です。