左腕にサイコガンを仕込んだ宇宙海賊の活躍を描くマンガ「コブラ」。
いまだに人気のある作品だけにおもしろさの要素はいくつもありますが、主人公コブラのウイットに富んだセリフも大きな魅力の一つであるのは間違いない。
でもこれってたぶん、作者の寺沢武一先生のセンスあってこそなんだろうな、と昔から思っています。


というのも、自分の作ったキャラクターに似たようなセリフを言わせたがる作家さんは結構いますが、読んでて正直「うわ…」となることも多いんですよ(苦笑い)。
ああいうセリフってカッコいいからどうしても使いたくなるものだけど、キャラクターが薄っぺらいと、聞いてて死ぬほど恥ずかしくなってしまうものなんです(苦笑い)。
それは能力的にチートであればいいというだけでなく、キャラの人格や人間性の太さまで含めてのことで、ぶっちゃけ作り手のそれらが未熟だと、大変見苦しいことになってしまう(汗)。


だけどそれだけでなく、この手のセリフを使いこなすセンスも必要になるんだろうなと、最近は考えています。
たとえば違う作家さんの作品でも、コブラと同時期に観たり読んだりして「カッコいい」と感じていたこの手のセリフ。
今読み返してみると「あれ? 思ってたほどカッコよくないぞ」と感じることも結構あります。
このあたりこちらも成長するにつれて感性が変わってきたり、あるいは「子供だまし」がきかなくなってしまったということかもしれない。


でもコブラは今読んでも、その手のセリフが「カッコいい」と感じられるんですよねえ。
これは寺沢先生のセンスに拠るところが大なんでしょう。
先生の経歴は全然知らないんですが、たぶんハードボイルド系の映画や小説を死ぬほど観たり読んだりして、それらを骨髄にまで染み込ませただけでなく、自ら磨いて本物のセンスにまで昇華させた結果なんだろうな、と勝手に思ってたりします。


だからぼくは、この手のセリフは観て読んで楽しむだけで、自分の作るキャラにはなるべく言わせないようにしています、恥ずかしいので(照)。