河野がサガンから古巣のヴェルディへ復帰か。
ユース出身だし、古巣というより原点というべきだろうな。
河野と中島がFC東京へ移籍してきてから、個人的にヴェルディの悪口は言えなくなりました。
だって二人にとってとても大切なクラブだろうし、それを悪し様に言うのもはばかられてねえ(苦笑い)。


中島は17歳のときにいきなりトップチームでハットトリックをかまして名を売ったけど、その前のヴェルディユース出身で注目されてたのは、高木三兄弟や河野だろうな。
個人的には河野の方が印象に残っています。
なんというか、ヴェルディらしいプレーをする選手だなと。


ぼくは単にダービー対象というだけでなく、読売嫌いのアンチ巨人で、Jリーグ初期のナベツネたちの横暴ぶりも覚えているので、坊主憎けりゃの理論(?)でヴェルディも嫌いなんですが、だからってプレーしてる選手たちの能力まで否定することはありませんでした。
特にぼくらの世代だと、ヴェルディ以前、読売クラブの時代も記憶にあるからね。
ぼくは当時、まったくサッカーファンではありませんでしたが、それでも元日に天皇杯決勝は観てたし、そこによく現れていましたから、あの緑のユニフォームは(苦笑い)。
年に一度しか観ていないサッカーの試合だけに、逆にインパクトが強かったっていうのもありますからね。


日本リーグ後期やJリーグ初期の読売クラブ、ヴェルディ川崎は、強かったのもありますが、うまいという印象も強かった。
もうちょっと正確に言うとラモスを筆頭に「うまさを誇示する・魅せる・ひけらかす類のテクニック」を持つ選手が多かったというか(苦笑い)。
もっとも、単にひけらかすだけでなく、それが得点や勝利に直結するプレーだからこそ魅せられる人も多かったわけだけど。
レッズをおちょくった、ヘッドでのパス交換はその代表例だろうな(苦笑い)。


だけど90年代も後半になってくるとプレスでの守備が主流になり、その手のプレーをする余地も余裕もなくなってきてしまう。
それでもヴェルディはその手のプレーにこだわったように見え、その他諸々の要因もあり、J2を主戦場にするようになってしまった。


それでもヴェルディユースからは彼ららしい選手がトップへ上がってきていたけど、でもやっぱり90年代前半のような魅せて勝つテクニックを駆使するのは、「速い潰し」が世界的潮流になっている現代サッカーではほぼ不可能になっている。
それはJ2でも変わらないんだけど、その中で一人、目を引く若いドリブラーがいて、それが河野でした。


あのドリブルは独特だったね。
足に吸いつくような、糸を引くようなドリブルというか。
あれを見るだけでも楽しかったし、またリズムやタイミングも特別だったから、プレーとしても効果的だった。
往年のヴェルディらしいドリブル、そういう印象でした。


FC東京がJ2に落ちたとき、ありえないほどの絶望感をおぼえたもんですが、実は一つだけ、ヴェルディに借りを返す機会がやってきたことだけはよかったと思ってたんです。
というのも2008年に一年だけヴェルディがJ1に復帰したとき、最後の試合は1-2で負けてたんですよ(汗)。
だからJ2とはいえ、きっちり勝って精算し、スッキリしてJ1に復帰しようと考えてたんですが、結果はアウェイ(第10節)もホーム(第33節)もドロー(爆)。
1点リードしていたホームゲームはオウンゴールで追いつかれてしまったんですが、そのとき森重のオウンを誘発したのが河野だったんですよ(苦笑い)。
その意味ではこんちくしょうだったんですが、でもそういうプレーができる選手でもあるし、さもありなんという気分もそこそこありました。
でもまさか、その河野がうちに移籍してくるとは思わなかったけどね(笑)。


守備にも力を尽くすようになったこともあり、河野の総合力はJ1でも充分通用するレベルだったと思うんですが、いかんせん、やはりあのドリブルを活かす余地はJ2より少なくなっていたのは残念でした。
こればっかりはしゃあないところはあるんだけど、やっぱりあのドリブルで相手DFを切り裂いて、決定的なパスやシュートを撃つところは見たかったよ。


いま中島はポルトガルで一気に成長して、日本を代表するドリブラーと認知されているけど、やはり「ヴェルディ的」という点では河野の方が上だろうな。
だからこそ日本トップクラスのドリブラーになれたんだろうが…
そして河野もその方向で極めれば、中島に劣らないドリブラーになれるとも思うんだが、それはそれでなんだか残念な気もしてしまうんですよね。


久しぶりのJ2。
それも古巣にして原点のヴェルディ。
あの「ドリブル」を待ち望んでいる人は、きっとヴェルディのサポーターや関係者にもたくさんいるはず。
それどころか(状況によるだろうけど)むしろやらないと不満に思う人の方が多いはず(笑)。
それだけに、またあのドリブルを見られる機会が増えたかもしれず、ぼくもそこは楽しみにしています。