センチ20チケット


今日は長いことオタクをやっててもなかなか巡り会えない、ちょっと特別な日でした。


センチメンタルグラフティは今から20年前に発売されたゲームで、いわゆるギャルゲー。
メインはゲームだったけど、他にもCD、ラジオ、小説、ムックなどなど様々なコンテンツと連動した、いわゆるメディアミックス作品になります。
ゲームついてはいろいろ酷評されることも多いんですが(苦笑い)、ぼく的にはその辺はあまり気になりません。
もともとゲーマーじゃないっていうのもありますが、センチは世界観が大好きで、ゲームはその一部でしかないものですから。


センチはぼくにとって特別でした。
誰でもいろんなアニメやゲームを好きというのはあると思います。
でも「ウマが合う」っていうのかな。
自分の感性や感覚にしっくりくる作品というのは、やはり数が少ない。


たとえば昔観ていた作品が、20年経ってイベントやることを知ったとき、個人的には下記のどれかに収まると思います。

①「ああ、そうなんだ」
②「へえ、行ければ行きたいけど、まあいいか」
③「うわ、そりゃ行きたいなあ」
④「是が非でも絶対行かねば!」

たいていは①か②なんですが、センチに関しては知った直後に④でした(笑)。
「行かなかったら絶対後悔する!」ってね(笑)。
20年経ってもここまでの気持ちにさせてくれる作品はやはり特別です。


しかしイベント自体は発起から実現まで、いろいろ大変だったみたいだ。
事あるごとにキャストであるSGガールズやスタッフさんが「大変だった」を連呼するので、よっぽどだったんだろうなと(苦笑い)。


このイベントのおもしろいというかユニークなところは、発起人が当時のキャストの方だったことです。
そしてこの時代には、ネットとクラウドファンディングという強力な武器がある。
これらが合わさったことで実現したイベントでしたが、普通のイベントといろいろ勝手も違ったようで(汗)。
軋轢や齟齬もいろいろあったかもしれませんが、細かい裏事情はわからないし、ぼくとしてはこの際その辺はあまり突っ込まず、ただただイベントを楽しもうと思っておりました(笑)。


イベントは午後と夜の二部制。
ぼくは午後の部のみの参加でしたが、どちらも参加の猛者はたくさんいたはず(笑)。
さらに猛者たちの中には全国から集まってきた人もたくさんいたはず。
チャリンコを小一時間こげば参加できる自分はちょっと申し訳ないところもあります(苦笑い)。


場所は九段下の一ツ橋ホール。
ぼくが到着したのは開場まで一時間弱というところでしたが、なんだか舞台機材のチェックに手間取ったとかで、開場も開演も20分くらい遅れてしまったな。
外で待つのは寒かったけど、まあ許容範囲、許容範囲(笑)。


開場を待って並んでいるのは、当たり前だがぼくも含めておっさんばかり(笑)。
そりゃあ当時高校生だったとしても30代半ばから後半だもんなあ。
ぼくから見れば30代はまだおっさんではないが、当時20代・30代組のぼくらがおっさん度を上げていて、すいません(照)。


でもねえ、逆にそこもまたうれしいのですよ。
あの頃をまったく別の場所で、だけど共に過ごした連中が、またこうして集まるわけですよ。
当時は言ってみれば現役コンテンツだから、作品自体に「流れ」や「勢い」があって、そのイキオイのまま参加した人も多いはず。
でも今日は、そういうブースト要因など存在しない、いわゆる「オワコン」であるセンチのために、またこれだけの人が集まった。
それも20年も経って。
「本気でファン」の「本当の同志」って感じがあるわけですよ、彼らとは(笑)。


で、ちょっと驚いて意外だったのは、女の人もかなりいたこと。
センチには女性ファンもいるというのは知っていましたが、20年を越えてのツワモノ、「本物の同志」がこれほどいるとは思わなかった。
まとまって数えたわけじゃないからなんとなくだけど、全体の一割以上は女性だったんじゃないかな。
あるいはもっとだったかも。
センチに限らずギャルゲーは、なんだかんだでやはり男をターゲットに作られた作品ですから、その意味ではぼくら以上に彼女たちは本当のセンチ好きと言えるかもしれない。
ちょっと感動してしまいましたよ。


イベントは前述した通り、20分ほど遅れて開始。
ゲームOP「雲の向こう」とともにモニターに映された当時のイラスト、甲斐智久先生が今回のイベントのためあらたに描き下ろしてくれたイラストにあわせて、キャストのみなさんのアテレコからスタート。
あーもーね、それだけで泣きそうになりましたよ(照)。


舞台上にキャストのみなさん登場。
挨拶やトーク。
今回不参加だった保坂美由紀役の牧島有希さんのコメント。
半ばボーッとしながらその空間に浸っていました(照)。


空間と書きましたが、ぼくにはイベントの内容もだけど、そここそが一番だったかもしれない。
さっきも書いたように、センチはもう完全にオワコンなわけですよ。
一人で、あるいは数人で、あるいはネットのコミュニティで懐かしむことはあっても、それはあくまで私的なこと。
だからあの頃を同じ感覚で楽しんで、一緒に没頭して、あの空気を覚えている、全国から集まった800人近くの人で埋まった「公的」な空間を味わえるなんて、もう絶対ありえないことだった。

だのにオワコンが一時的とはいえ本当に復活して、それを実感してる。
中野サンプラザで終わったあの空間を確かに感じている(センチのラストコンサートは中野サンプラザだった)。
その事実が一種の奇蹟で、夢みたいな感覚でした。


ちょっと余談ですが、センチの頃はぼくはオタク全盛後期だったので、実はその後ほとんどイベントやライブの類には参加していません。
だから今のサイリウム(?)はよく知らなかったんですよね。
今のってすごいねえ!(笑)
任意で色を変えられる性能とは知らなかった。
センチに限らないけど、キャラクターがたくさんいるコンテンツは、キャラごとにイメージカラーが設定されていることが多く、ライブやイベントではそのキャラにあわせてサイリウムの色を変えるというのはよく聞いてました。
でも目の当たりにすると、なかなか圧巻(笑)。
こりゃ武道館だのアリーナだのの大人数が一斉にやったら病みつきになるだろうな、ステージ上の人は(苦笑い)。


イベントではSGガールズが選んだゲームのシーンの再現アテレコもありました。
モニターにゲーム画面が映されて、それにあわせての生アテレコ。
いやー、懐かしかったね(笑)。当時死ぬほど観た画面ばかり(笑)。
だから観ながらあの頃のゲームやってる感覚になってしまったよ(照)。


前田愛さんがえみるを演じてるとき、突然画面が消えたアクシデントもおもしろかった(笑)。
ある意味えみるらしい展開(笑)。
ぼくは妙ちゃん推しなんですが、キャラの強さではえみるが一番だからな(笑)。
また愛さんの「りゅん!」が聞けて、それもまた感動でした(笑)。


ファン参加ゲームも。
参加といってもお題を事前に書いて、それをSGガールズがイラストにして伝言ゲームをやっていくというものでしたが、意外とおもしろかった(笑)。


後半戦は生バンドで歌も。
といってもさすがにソロは難しい(汗)。
時間的にも人数的にもね。
だから全員で歌える曲を三曲。
新曲もあったな。


最後にみなさんの挨拶と、センチファンには恒例の「せつなさ炸裂!」の合い言葉で2時間弱のイベントは終了。
もっと時系列に沿った、ちゃんとしたレポートを書ける人もいらっしゃると思うんですが、ぼく的にはこれが精一杯。
なんだかポーッとしているのでね(照)。


いやでも、何度も書きますが、やっぱりあの場所にいられたことが他では味わえない感覚でした。
リアルタイム・現在進行形で盛り上がっているコンテンツのライブに参加するのとも違う。
ガンダムみたいに40年間、なにかしらの形でずっと続いてきたものとも違う。
20年間時々思い出す程度でほとんど忘れていたのを、なにかのきっかけで思い出させてもらったのとも違う。

20年間自分の中でずっと特別なものとしてあたためられていた作品が、あるとき突然きっかけを与えられてまた発芽して、いっときの特別な感覚を味わった。
それは決して当時のままではなく、かといって当時とまったく違うわけではなく、でも核となる部分は変わっておらず、だけどやはり変わった部分もあり、それらも含めて様々な共鳴が自分の中で起こっている。
この不思議な感覚は、おそらくセンチメンタルグラフティでしか味わえないかもしれないな、ぼくは。


こんな特別な感覚を与えてくださったSGガールズ、おそらく様々なムチャ振りを泣きながらこなしてくださったスタッフのみなさん(苦笑い)、そしてこの感覚を共有しているかもしれない同士(ファン)のみなさん(笑)。
誰一人、どれ一つ欠けても得られなかったこの不思議で心地いい感覚を与えてくださって、本当にありがとうございました。
この感覚、今10代や20代の人たちが、いま楽しんでいるコンテンツで、20年後、30年後に味わってほしいとも感じています。


本当に企画してくれて、参加できてよかったよ…(泣)


さて、とはいえやっぱり二部も観たいかな(笑)。
DVDをなんとか観たいかな(笑)。