ニュータイプ連載中、永野護「ファイブスター物語」。
つい先日最新15巻が発売されましたが、14巻からわずか2年弱。
このハイペースにかすかに恐ろしさも覚えております。
べつに冗談やギャグではなく本当にね(苦笑い)。


この作品、ぼくも30年近くのつきあいになりますが、その間ほとんどの時期を休載(苦笑い)。
連載再開をして3年以上、ほとんど休むことなく掲載され続けてることに違和感をおぼえています(笑)。
奇蹟が起こり続けている違和感ですよ(笑)。


で、この作品について書かれてる感想などをちょいちょい読むと、マンガ・コミックとしての批判を見かけることもあります。
いろんな意味でマンガとしての体(てい)をなしていない、という感じかな。


だけどぼくにとってこの作品は、たまたまマンガの形で発表してるだけで、普通のマンガと同列に考えていません。


・時間的には数十億年やそれ以上。
・空間的にはジョーカー太陽星団のみならず、他の銀河系や、果ては神様の世界まで。
・時間も空間も長く広いだけでなく、微に入り細に渡る、まるで顕微鏡で見てきたかのような細かな世界観。政治。人物。メカ。それらの相関関係。
・加えてメカデザイン、キャラクターデザインそのものも特級品。


「メカデザイナーとして0から1を生み出すことができるのは大河原邦夫と永野護だけ」という評も聞いたことがあります。
実際はどうなのか門外漢なのでわかりませんが、そういう評価をされるだけでもとんでもない話でしょう。


・さらに言えば絵も信じられないくらい上手く、ギャグも独特でキレッキレ(笑)。食べ物や服についても大変知識が豊富。


ここまでざっと箇条書きっぽく挙げてみましたが、このうちどれか一つを持ってるだけで、クリエイターとして他者から生涯尊敬されたり羨望されたりするんじゃないでしょうか(デザイナーとしてキャラとメカを並べて書けるところがすでに異常)。
それを一つどころかこれだけ兼備している。


あの人いったい何モンなの!?


というのがここ30年変わらない正直な感想です(笑)。
あの人の頭開いて中のぞいてみたいと考えた人は、自分も含めておそらく数知れずでしょう(笑)。
むしろ「『永野護』とは、さいとうたかおプロやCLAMPみたいに複数人でチームを組んでいるクリエイト集団」と言われた方が納得するかもしれない。
芸術に関しては「万能の人」と呼ばれるヴィンチ村出身のレオナルドさんと同等のものを持ってるんじゃないかなあと、かなり本気で思ってたりします。


だから少なくともぼくにとってFSSはマンガではなく、永野護という希代の天才の才能と実力を存分に味わうための媒体だと思っています。
天才という言葉は軽々しく使っていいものではないかもしれませんが、たぶんこの人に使う分には許されるんじゃないかな。