サクラと紅茶

日常のことを書いていきます。 物書き志望でもあります。 第2回富士見ラノベ文芸賞 一次選考通過

2020年10月

正確にはエコバッグで、買い物かごよりはスタイリッシュ(?)ですが、光景的にはタイトル通りの姿がチラホラ見かけられて、ちょっとおかしく感じています(笑)。


レジ袋が一律有料になるからとエコバッグに切り替えた人も多いようですが、自分はずっと前からエコバッグ派だったので、基本的には何も問題ありませんでした(笑)。
ただコンビニでちょっとした買い物をするときは小さいコンビニ袋をもらってたり、スーパーで買い物するときも雨の日はエコバッグを濡らしたくなくてそなえつけの袋を使ったりしてたから、そこはちょっと不便かな。


好きなエコバッグは底に「まち」があるやつ。
あまり横にしたくないものを買うときにありがたいので(照)。





というわけで感想後編!
(前編はこちら http://suntu500.blog.jp/archives/1078072743.html
当然10巻のネタバレ入るので注意です。



★第70膳 今日ケンカしたことも


前話で八雲さんにアパートを出てゆくことを告げた大和。
そのための準備も徐々に始める。


その一環というべきか、今日は妹のさくらが片付けの手伝いにきていた。
この日は大和は午後の練習がないため、一日で片付けを終わらせようとのこと。
大和としてはもともと荷物も少ないし、一人でやれると言うが、さくら曰く「お母さんに頼まれてるの」。


とはいえ大和としては、片付けつつも口やかましい妹に閉口し「お前どんどん母ちゃんに似てくなあ…」と深いため息をついてしまう。


黙々と片付けを続ける兄妹だが、さくらとしてはもう一つ、兄に確かめなければならない重要なことがあった。
「さみしくないの? 八雲さんのこと」
そんな妹の問いに、気のない風に生返事をする大和。
そんな兄の態度にムッとするさくらは言い募る。

「寮に入ったら外出れないんでしょ? もう会えないかもしれないよ」
「…そうかもしんねーけど、さみしいとかはチゲーだろ」

「…何それウソじゃん。バカみたい」
「…は?」
「そうやってウソばっか言って強がって。野球辞めるって言ったときと同じ顔してるじゃん」


ここまでくると兄妹とも売り言葉に買い言葉で自分でも止めようがなくなってくるけど、言い当てられた大和は押し黙り、仕事を続けることを強要して、それ以上妹に何も言わせない。


そして夜は兄妹そろって八雲さんの部屋にお邪魔して、夕飯をごちそうになる。

「今日はからあげカレーでーす! カレーもからあげもおかわりいっぱいあるからね!」

大和がいなくなることにいろいろ思うところはあるだろうけど、それはそれとして「餌づけ」は楽しいし、今夜はさくらも一緒なだけにうれしそうにはしゃぐ八雲さん。
だけど兄妹の方はケンカが続いている状態で、いささか雰囲気が悪く、それを察した八雲さんもちょっと気まずくなる。


それでも大和の食欲は変わらず、黙々と食べておかわりも(笑)。


そんな空気をを少しなごませようと、八雲さんはさくらに尋ねる。
「食べ終わったら今日はどうするの?」
「帰ります。駅まで父が迎えに来てくれるので」

それを聞いて「大和クンと駅まで送る」と笑顔の八雲さんだけど、大和は「今日は夜走るんで」とそっけなく、そんな兄に「お兄ちゃん全然頼りないし、いてもいなくても関係ありません!」と半泣きの表情で怒鳴るさくら。
そんな妹を置いて「ごちそうさま」と一礼した大和はそのまま出て行ってしまい、半泣きだったさくらは本当に泣き出して、八雲さんを驚かせる。


駅まで送る道すがら、「大和クンとケンカでもしたの?」とさくらに尋ねる八雲さん。
うなずくさくらは「だってお兄ちゃんバカなんだもん!」
そんなさくらをほほ笑ましく感じつつ、大和のフォローをする八雲さんだけど、さくらは「頑固だし意地っ張りだしカッコつけてばっかりだし」と悪口を連呼しながらも

「…いつも私に何も言わないし」

と本音が漏れ、八雲さんも小さく笑う。
そして経験者としてさくらに告げる。

「人との思い出って不思議で、大切な人のことを思い出すとき、楽しかったことや幸せだったことと同じくらい、ケンカしたことや傷つけちゃったことを思い出すの」
「でもね、嫌な気持ちにはならなくて全部ひっくるめていい思い出なのかなって。だから今日ケンカしたこともいつかきっと笑い話になるよ」


笑顔の八雲さんが諭すことに、どこか別の感情も突かれたさくらはボロボロと本当に号泣しはじめ、抱きしめて慰めてくれる八雲さんにずっと我慢していたことを告げる。

「お兄ちゃんが引っ越しても、八雲さん家また来ていいですか…?」

八雲さんの答えは当然「もちろん」。


そうして駅に着くと、ロードワーク途中らしい大和が待っている。
「やっぱりいいお兄ちゃんじゃない」
怒り顔に涙を浮かべて兄に向って走り出すさくら…で終わり。


――大和の気持ちをズバリ言い当てたさくらだけど、兄という接点がなくなったら八雲さんに会えなくなるかもしれないという不安から、本心は自分もさびしかった(お兄ちゃんが一緒に住んでいないという慢性的なさびしさも加わってか)。
八雲さんはさくらにとって、美人でやさしくて料理も得意で、母親と違う種類の理想の女性だろうし、すでに深く関わりすぎてしまってもいるから、会えなくなるとなるとショックも大きいだろうからな。



★第71膳 西原ルイの大切なコト


愛の告白のように「砂糖控えめ手作りプロテインチョコバー」を潤んだ目で渡すルイと、それをさらっと流しながら受け取る大和と、いつも通りの二人。
だけどいつもと違ったのは、礼代わりに「今度の休みにデートくらいしてよね」というルイに大和がさらっと「いいよ」と応じたこと。
自分で誘っておいてその答えにガチで驚くルイ(笑)。
言質は取ったとばかりに「SNSで見たりんご飴のお店とか水族館とか」と、さっそく行きたいデートスポットを列挙するルイだけど、大和に「翔平はどこ行きたい」と尋ねたのが運の尽き。


デート当日。2月の公園でキャッチボールを始める二人。
でもこれはこれで「なんかちょっと昔みたいでいい感じじゃん」とまんざらでもないルイ。

「もっと本気で投げていーよ。取るだけはできるんだから」

と昔取った杵柄で、よりキャッチボールを楽しもうとするルイだけど、しばらくするともう限界。
はっきりした描写はなかったけど、おそらく今の大和相手では「取る」ことだけでも相当削られるんだろうなあ。


そのまま二人してファミレスへ。
そこでルイに有名選手があげているトレーニングや食事についての動画を見せられ食いつく大和。
大和は動画なんかはまったく見ないタイプで、代わりにいろいろチェックしていたとのこと。
思いのほか食いつかれ、スマホを渡すときに指が触れたことにも赤面するルイ。


頼んでいた料理も運ばれてきたが、ルイが頼んだメニューは意外にも大和と同じステーキ。
こんなガッツリしたものを食べるルイに驚く大和だが、ルイ曰く「今ダイエット中だから、肉なら半分あげても(大和が)美味しく食べられるでしょ」とのこと。
ルイの気遣いに感謝する大和。


大和への気遣いもありつつも、久々のステーキにご満悦のルイだが、大和の「俺はファミレス自体久しぶりだわ」という言葉に何かを察し、だけど口ごもる。


食事のあとは少し渋る大和を誘って表参道へウィンドウショッピング。
スポーツ店をのぞいたり、ジーンズショップに入ったり、ガチャガチャを回してみたり、歩道橋の上で二人で自撮りしてみたりして楽しむ二人。


夜の表参道を歩きながら大和の入寮の話も。
「翔平も寮楽しみ?」と尋ねるルイへ、少し間があって「…ああ」と答える大和。


そしてルイが食べたいと言っていたりんご飴屋の行列に並ぶ二人(笑)。


りんご飴を食べながら、結局自分が行きたいところばかりへ引っ張っていったことを謝るルイに、気晴らしになったからと気にしない大和。
次のデート先の提案をしているうちに駅へ到着。
乗る電車が違うため、そこでお別れの二人だが、大和の後姿を見て駆け寄るルイ。

「翔平、今日ずっと何か言いたそうだった!」

言い当てられて「なんでわかった」と驚く大和だが、「あんた顔に出やすいのよ」と先日妹にされたのと似たような指摘をされて、さすがにちょっとショックを受ける(笑)。


だけど今はそんなことより今日ルイに尋ねたかったことを尋ねる方が大事。

「…ルイは自分の気持ち何度も全部他人(ひと)に言うだろう? そういうのって怖くないのか?」


それを聞いたルイは、少しの間とともに大きく笑う。
そのことは謝りつつ「デリカシーがない」と苦笑気味のルイ。

そして少し呼吸を整えてから、自分の気持ちを押し殺しつつ笑顔でアドバイスする。

「口に出しているのは全部じゃなくて大切なことだけ。不安もあるけど言葉にしないと気持ちは伝わらない。何もしないでゲームセットなんて嫌だから」


その後、大和と別れたルイは、親友の律子の家を訪れ、号泣しながら彼女にすがりつく。

「翔平のアホ! バカ! 超どんかん男!」
「でも私もバカなの…だって好きなんだもん」


それで何かを察したリツコに軽く頭をポンポンと叩かれ慰められたルイ。

「今日は朝まで飲み明かすわよ!」
「はいはい、ジュースでね」


――「他人に何度も全部言う」
この場合「他人」とは大和のことで、「何度も全部言う」とは告白も含めた大和への愛情表現全般。
それが怖いというのは大和が同じことをしようとしているということ。
それもルイじゃない、別の女に対して。

最初読んだときはわからなかったんですが、何度も読み返しているうちに、たぶんそういうことなんじゃないかなと。


その相談をルイ本人にするあたり「デリカシーがない」と言われてもしゃあないわな(苦笑い)。
ただまあ、ちょっとだけ大和を弁護するならば、昼寝しているときに体にサラダオイル塗られて写真撮られたり、ビデオカメラであそこを撮られそうになったりしていれば、そういうところの配慮が欠けがちになるのは仕方ないかもしれない(苦笑い)。


だけどルイも最初の頃に比べると、すごく変化してきている。
最初は(今も結構そうだけど(苦笑い))自分の考えや好み、やり方を(野球に関して以外は)一方的に大和に押しつけてうんざりされていたけど、最近は「本当に大和のためになること」を考えて努力するようになっている。
今回も大和が知らなそうな、ためになる動画をチェックして教えていたし、ステーキについてもそう。

なにより冒頭の「砂糖控えめ手作りプロテインチョコバー」。
ルイはいわゆるメシマズキャラで、食えたもんじゃない料理ばかり作っていたんだけど、どうやらちゃんと食べられるものを作れるようになってきているらしい。
文化祭のとき「翔平を落とすには餌づけが一番?」と遅ればせながら気づいて、きちんとした努力をしているのが感じられます。


だけどそれだけに大和にとっての八雲さんの存在の大きさを、ようやく実感しはじめたのかもしれない。
ただ以前なら単純に嫉妬の炎を燃やすだけのところを(第一巻 第6膳 暴走JKルイ登場 など)、大和の気持ちを一番に考え、自分の気持ちを抑えて笑顔で背中を押してしまった。
大和のデリカシーのなさを笑ったり、呼吸を整えたりしたのは、そういう自分の気持ちを少しでも落ち着ける必要があったためでもあるんだろうな。


個人的には、最終的に大和はルイとくっつくんじゃないかなと思ってたりします。
ルイは奇行があらたまり、実際的な意味でも大和を支えていけるようになったとすれば、もともとの野球に対する情熱や造詣もあり、奥さんや恋人としてだけでなく「野球選手」としての大和も助けてゆける、理想的なパートナーになれそうですから。
ぼくの中では八雲さんは大和にとっての「メーテル」なんですよね。


それに大和と八雲さんが一緒になるには、ちょっといろいろハードルがありすぎる。
二人が「愛のために生きるわ!」というタイプなら、障害も愛が深まる要素になるのかもしれない。
でも大和はそもそもそういうタイプではないし、八雲さんも愛情そのものに情熱を注ぐのではなく、愛情をベースにした穏やかで幸せな生活を最も貴重に思うタイプなんじゃなかろうか。
だからこの二人の場合、ハードルにぶつかり、乗り越える過程で愛情が深まるのではなく、逆に疲弊していって、最後には疲れ切って破局してしまうんじゃないかなと…
その点ルイであれば、八雲さんと一緒になるために必要な障害とはほとんど無縁でいられますから。
あの二人には、そんな思いをしてほしくない。


将来、メジャーのバッターボックスに立つ大和と、それをスタンドから見つめる、大和と結婚して一緒に渡米しているルイ。そしてその中継をテレビで観る、他の人と再婚して子供も産まれた八雲さん。
そういう図が、ぼくの中ではちょっと見えています。



★おまけマンガ


久しぶりに雪が積もった朝の東京。
八雲さんと大和のアパートの前も新雪が降り積もっている。
雪はやんで晴れてはいるけど「パートも休みだし、このアパートじゃ若い方だから」と、雪かきをすることにした八雲さん。
ただし「イイコトしちゃお」と、他にもちょっと理由というか思惑もあるらしい。


新雪を踏んで穢す喜びにも浸りながら雪かきをする八雲さん(笑)。
だけどかき終える頃には日も昇って気温も上がり、「雪かきしなくても溶けてたわ」とセーターの首から風を送る。
とはいえ(おそらく)「イイコト」の一つ、雪だるまはすでに作られていて、ちょっと小枝や小石で顔もつけたりする(笑)。


そのあとは大和の夕食の用意。
大根を大量におろし(雪かきも相まって明日は腕パンパンを覚悟の上(笑))、それを丸めて土鍋に二段で盛ったのを二つ作る。
さらに切った海苔で顔をつけ、できあがったのは

・真冬の雪だるまみぞれ鍋 大和クンとさくらちゃんバージョン


帰宅してきた大和はアパートの前に雪だるまを見るが、その顔が自分を模しているとは気づかず「変な顔」という感想で終わり(笑)。


――イイコトが具体的に何かはっきりしなかったんですが、たぶん「雪だるま」と「それに着想した雪だるま鍋」のことかなーと。

しかし八雲さんは芸術のセンスがある。大和もさくらもそっくり(笑)。
大和も自分だと返って気づけないものかもしれないが、他の人はきっとすぐに気づいたろうな(笑)。



★とらのあな限定購入特典 特別描き下ろし小冊子「未亡人(29)と高校球児(16)が入れ替わっちゃう話 前編」


ちょっとした流れで近づいて、軽くぶつかってしまった八雲さんと大和。人格が入れ替わる(笑)。


夢かとも思う二人だが、とりあえず学校へ行かなければならないと、大和になった八雲さんは朝練へ向かう。


いつもに比べ表情が明るく愛想がよかったり、ダッシュのときもいつも通り速いが変なフォーム(ダイゴ曰く「巨乳走り」)で走る大和に、チームメイトは爆笑したり困惑したり。


八雲さんも普段の自分より身体が軽く疲れないことに感動したり、「得意な科目があってよかった」と家庭科でにんじんを手慣れた様子で切ったりして。
そんな大和にいぶかしさをおぼえるルイだけど、「今日の髪型似合ってるな」という大和(八雲さん)には、赤面しつつも「翔平が変なんだけどー!」とリツコにどもりながら報告(相談?)する始末(「いつもわりと変だと思うけど」というリツコもなかなかヒドイ)(笑)。


一方その頃、八雲さんになった大和は、自分の胸をセーターの上からガン見しつつ、両手が伸びそうで止まっていて…(笑)


――小冊子ではお約束というかベタというか、そういうお話を里見先生が楽しく描いてくれてるようで(笑)。
背表紙では、エプロンをつけた大和(八雲さん)が「お布団が軽いわー!!」と驚き感動している(笑)。

でも実際、全国区の選手の身体って自分が動かすとどう感じるのか、ちょっと興味あるな。
中古の軽自動車から最新型のレーシングマシンに乗り換えたくらい違うかもしれない(笑)。



★サウナ好きって話(カバー下エッセイ漫画)


スーパー銭湯は好きだがサウナ&水風呂は敬遠していた里見U先生。
だけどまんしゅうきつこ先生の「漫遊ワンダーランド」で「頭がパッカーンとなり、ぐにゃあとなり、大きな自分に守られてる感じ」がして「整う」というのを読んで体験してみることに。


・サウナを6分耐える。
・水風呂に入って数秒「羽衣」と呼ばれる暖かい無敵のベールの快感に包まれる。
・露天の外気浴へ。視界や脳がぐにゃあとなってパッカーンとなる!


上のような手順で「整」った里見先生。「サウナって最高ーー!!」と認識があらたまり、週1くらいで通いたくなったそうです。


――最近自分もサウナは耐えられなくなってきたなあ。
水風呂も年齢を考えるとちょっと怖いから敬遠気味だったけど、今度注意しながらやってみようかな。
脳がパッカーンとなりたい(笑)。




――料理の描写少なめなのが、エピソード中心ではなく終わりが近づいているのを感じさせるんだよなあ…
そして巻末の予告では、次の11巻が最終巻だということ。
発売日は来年(2021年)の春。大和と八雲さんの別れの時季にピッタリ合ってるんだよなあ…


巻末では他にも、電子書籍のキャンペーンで募集したユーザーリクエストによる描き下ろしイラストも。

「八雲さんが幼女になってしまったところを大和クンがお世話してあげているところ」
そういうイラストでした(タイトルは「大和クン八雲さんは餌づけがしたい。」)(笑)。

かわいいけども、個人的にはロリではなく今の八雲さんが好きなので(照)。
だから巻頭イラストがいけません! 歯ブラシをくわえ、上半身裸で髪ブラで隠す八雲さんとかいけません!(笑)







毎回「とらのあな」特典、描き下ろし小冊子が欲しいため、平日発売だと週末まで買うのを控えなければならなかったんだけど(秋葉原まで行くため)、今回は土曜が発売日だったので当日購入ができました(笑)。


そんなわけでこのあとは10巻のネタバレが入りまくる感想ですよー。




★第65膳 年の瀬、大掃除中。


腰をいわした(傷めた)大家さんに頼まれて、アパートの屋根にのぼって雨どいの掃除をする大和。
といにたまった土に生える雑草の生命力に軽く驚きつつ黙々と仕事をする大和ですが、それを見つけた買い物帰りの八雲さんはビックリ。
落ちたら大変と軽く狼狽しつつ事情を聞き、年末で業者も混んでるとのことで代わり買って出た大和が「大丈夫」と危なげなく屋根を移動して仕事を続ける姿に、とりあえず何も言えなくなった八雲さん。
だけど気になってハラハラしながら目が離せない(笑)。


とはいえいつまでもそうしていられず、部屋に戻って自分も大掃除を始める八雲さん。
大和が移動して天井がぎしぎしと音を立てるたびに「屋根が抜けないかしら」との心配も(笑)。


そしてお昼。
掃除が一段落した八雲さんは屋根の上の大和を昼食に誘う(メニューはチャーハン)。
ちょうど雨どいの掃除が終わった大和も礼を言いつつこころよく受けますが、ふと思いつき、逆に八雲さんを屋根の上へ誘う。
大和と違って運動神経がほぼ死滅している八雲さんは躊躇するが、重ねて誘われ、ついにはしごに足をかける。
屋根へ上がる際には大和に手を取ってもらいますが、意識するのは大和の方(笑)。


そして見えるのは富士山。
珍しくちょっと強引に大和が誘ったのはこれを八雲さんに見せたかったからで、八雲さんもちょっと感激し、手を合わせて拝む(笑)。
礼を言う八雲さんだけど、やはり高いところはアレらしく、すぐに部屋へ戻る(笑)。


鍋のような大きな皿に山盛りにされたチャーハンを、自分の皿に取りながらの昼食。
そのさなかに互いの年末年始の予定を確認する二人(どちらも数日実家へ帰省)。


さらに八雲さんは「枕の下に入れて寝るとよい初夢が見られる!」と大和に七福神のイラスト(手描き)を渡す。
クリスマスにもらった腹巻きといい、最近の八雲さんがおばあちゃんっぽいと感じる大和だが、賢明にも口にはせず、素直に礼を言って受け取る(笑)。


チャーハンを食べ終え、今年最後の「餌づけ」も終えると、互いにあらためて今年一年(出会ってから10か月)の礼を言う二人。


七福神のイラストをダンナさんの遺影にも供える八雲さんでこの回終わり。


――明確に書かれてはいなかったけど、おそらくは大みそか。
だけど特になんとはない一日。
それがとても貴重な日々だと、今巻を読み進めていくと感じます。

東京でも空気が澄んで、他の建物に邪魔をされなければ、結構富士山は見えます(笑)。

大家さんも気楽に頼んだわけではないだろうけど、やはり超真剣にやっているスポーツ選手にそういうことをさせるのはよくないし、大和も引き受けるべきではない。
が、困ってる人を助ける、恩のある人にお返しするという「社会で暮らす人間」としてのベースは野球以上に大切にしないといけないところでもあるから、一概に否定や非難もできないな。

あと24ページ三コマ目の大和の表情が、幼さを残しつつたくましさも感じられて、なんだかとてもよかったです(照)。



★第66膳 今年も君といっしょにごはん。


帰省から戻ってきて、ほんの数日練習を休んで実家でゴロゴロしていただけで「体がなまった」と感じる大和は、さっそくアパート前で素振りを開始。
と、そこに八雲さんも帰宅。しかもクルマで。
そのことにちょっと意外さを感じた大和は、荷物を助手席から降ろした八雲さんを置いて走り去るクルマを見送りつつ尋ねたところ、お父さんに送ってもらったとのこと。
大量の荷物は実家の両親が持たせたもので、餅とかおせちとかで、今夜の餌づけメニューは決まり(笑)。
そしてきちんと新年の挨拶をする二人。


八雲さんの荷物を持って部屋へあがる大和は、ちょっと気になっていたらしい「自分とのことを両親にどう話しているか」を八雲さんに尋ねてみる。
八雲さんの答えは「話していない」。説明がややこしくてめんどくさいのが理由とのこと。


あらためて素振りを始める大和。
風切り音は相当のものだが、八雲さんもさすがに慣れてきたらしく驚きはない。アパート前の掃除をしながら大和と会話。
「初詣行った?」という正月らしいものだったが、意外にも大和はこれまで初詣そのものに行ったことがないと。
両親があまりそういうことに興味がなく、友達と集まると自然と野球をしちゃうからとか。


そうなると八雲さんとしても初詣に誘う流れになる。
素振り等の練習を終えた後、少し歩くが近所の穴場的な小さい神社へ向かう二人。
初詣の作法(?)を大和に教え、自分は500円と奮発して大和の甲子園出場を神様にお願いする八雲さん。


おみくじは大和が大吉、八雲さんが末吉。
大和の健康運が良好なことに一番ホッとする八雲さんで、自分の「新しいことを始めると吉」という内容には少し思うところあり。


と、ここで大和が「かーちゃんから」と八雲さんにお年玉を差し出す(笑)。
年齢的にもさすがに恐縮して遠慮する八雲さんで、しかも彼女からも大和に用意していた、お年玉(笑)。
大和としてももらってもらえないと困るということで、結局交換することで落着。


帰宅してから新年最初の夕食は、


・餅多数(納豆、いそべ焼き、きなこ、みぞれ、チーズベーコン、お好み)
・ほぼ手をつけなかったおせち


と、八雲さんが実家から持ち帰った残り物オンパレード(笑)。
しかしもちろん大和は大満足(笑)。


餅食べながら大和家のシーズンイベントのことを尋ねてみると、妹のさくらのためにクリスマスとか形だけは最低限やっているらしい。
正月のさくらは、ルイの姉のランと初詣やバーゲンに行っているらしいとのこと。


大和が帰宅したあと、今夜はほとんど使わなくてきれいなままのキッチンに「今年も一年よろしくね、キッチンちゃん」と笑顔で挨拶する八雲さん、で終わり。


――八雲さん父と大和がニアミス(笑)。
でも大和一家と違って八雲さんの両親は本編には出てこないのかもな。回想や電話では出てきたけど。
初詣行ったことがないというのもなかなかすごいが、やはり末っ子で女の子だと両親も気を遣うらしい。
長男で男の子の大和は、本人が気にしないこともあって、ほぼほったらかしみたいだが(笑)。


6巻のおまけマンガでも感じたけど、幼なじみとはいえ年が離れてるだけあって、ランとさくらは他の二人とはちょっと違う関係みたいだな。
ガサツで無口で無愛想なアニキしかいないさくらには、面倒見のいいお姉さんであるランは慕いがいがあるだろうし、ランには最近とみに奇行が多いルイと比べ、まだまだ素直なさくらはかわいがりがいがあるだろうからね(笑)。



★第67膳 通帳


残高が0円になった預金通帳を見ながら、どこか安堵や、なにがしかの達成感を覚える八雲さん。


――過去。おそらく入籍直前か直後くらい。
結婚雑誌の「結婚式の平均額は352万円」という記事にうめき声をあげる八雲さん。
お金はあるし、式を挙げたいという八雲さんの想いはかなえてあげたいダンナさんだが、八雲さんの方がちょっと複雑。
大学は両親の金で卒業し、就職して働き始めたとはいえ結婚式の費用も夫持ちでは、自分は何もしていないのが気になる。


そんなわけで結婚式費用をこれから二人して貯めていこうと提案。
概算では月に5~8万円くらい貯めていけば、もともとの八雲さんの貯金とあわせて一年半くらいで目標額に届く。
ダンナさんにも否やはなく、結婚式を挙げるため、専用の通帳を作った二人。


それからおそらく一年ちょっとが過ぎたころ。
節約レシピも使いこなし、夕食を作りながら予定より早く目標額に届きそうなことに喜んでいた八雲さん。
そこへダンナさんからカエルコールがかかってきて…と思いきや…


それから数か月後の桜が咲くころ。大和と出会う約一年前。
仕事を辞め、ダンナさんが以前住んでいたアパートで一人暮らしを始める八雲さんの姿が。
まだ半死人のような表情をしながら、二人で貯めた350万円を生活費として――


二年前とまったく違う表情で、遺影に向かって残高ゼロになった通帳を見せて報告する八雲さん。
脳裏に浮かぶのは大和のこと。
「本当にありがとう」と礼を言うのは、ダンナさんに対してか、自分を立ち直らせてくれた大和に対してか、その両方に対してか。


出かけた八雲さんが手にしたのは就職情報誌。
夜、真剣にそれを読む八雲さん。


――今回は少し物語の根幹に触れるお話。
あの感じだとダンナさんはおそらく事故死だったんだろうなあ。
八雲さんの生活費がどうなってるのか連載開始当初から気にはなってたんだけど、そういうことだったか。
これを使い切ることが八雲さんの中で一つの区切りみたいなところもあったんだろうけど、それでも当時は使い切ったところでどう変わるわけでもないという気持ちもあったはず。
大和との出会いと存在は本当に大きかったと、誰よりも八雲さんが感じているんだろうな。

ダンナさんと生活しているころの八雲さんの髪が肩にかかるくらいのセミロングで、アパートに住み始めた頃には肩甲骨あたりまで伸びていて、今は腰のあたりまでの長さになっているところに、時間と、彼女の心情の変化が感じられるような気がしています。
セミロング八雲さんもかわいくて好きなんだが(笑)。



★第68膳 パートタイマー柊子!!


エプロン姿の八雲さんだが、いつもと場所が違う。
生活費を稼ぐため、パートの仕事に就いた八雲さん。
仕事先はさもありなんというべきか、自分の特長を活かして選んだであろうホカ弁屋(笑)。


とはいえ八雲さん、就職経験もあり働くのが初めてなわけではないとはいえ、やはり始めたばかりではうまくいくはずもなく、注文ミスなどの失敗も多い。


また個人経営の弁当屋で、調理係を兼ねる店長のおばちゃんがなかなかキツイ。
モタモタする八雲さんを叱り飛ばしたり、注意してくる内容も細々したもので、八雲さんとしてもいささかビクつく。


が、それもおばちゃんが怖いというだけではなくて、久々の仕事とはいえもう少しうまくできると思っていたのがそうじゃなかったのも少しショックだったらしい。
夕食を食べながら落ち込むほどで、大和がなぐさめる始末(笑)。


問題は、同時にこなさなければならない仕事が多く(金の受け渡し、注文、電話取りなど)、その処理が間に合わないのが一番の理由で、野球のプレーではどうしているかを尋ねたところ、「状況に応じて次のプレーの優先順位をつけて準備しておく」との答え。
それを参考に、夜、自分の中で優先順位をまとめる八雲さん。


そして次の仕事の日。
テキパキとはいかないまでも、仕事をこなす八雲さん。
「みっともないからメモは取るな」と言われてたにも関わらず、メモ帳を手放さない八雲さんにいささか不満げな店長ではあるが、八雲さんがやってきてから店が以前より繁盛していることにふと気づく。


その八雲さんは「モタモタ」の原因ながらも、笑顔でていねいな接客を心がけ、いつの間にか「優しい新人美人パートさん」として客(男女問わず)のひそかな人気者になっていた(笑)。


そのことにも気づいたらしい店長さん、帰り際呼び止められてビクつき謝る八雲さんに「接客はあれでやってみな」と彼女のやり方を認める。


帰り道で事の意外さに混乱していた八雲さんだけど、どうやらあの口やかましい店長に「誉められたらしい。認められたらしい」と気づくと、ニヤける顔を抑えきれず早足で帰路を進む(笑)。
大和との夕食時(メニュー:かにさん・たこさんジャーマンポテト)もニヤけ顔は変わらず、それに気づいた大和に理由を説明し始めて…この回終わり。


――作中でそうは言ってなかったけど、ああいう弁当は最近もホカホカ弁当、ホカ弁と言うんだろうか(苦笑い)。

前回からの自然な流れで仕事を始めた八雲さん。
この「自然な流れ」で踏み出せるのがすごく大きい。
以前のままの八雲さんだったら、ものすごく気合を入れて踏み出さないといけなかっただろうから。


仕事中はポニーテールの八雲さんかわいい(笑)。
そして疲れて落ち込んで帰ってきたせいか(あるいはめんどくさいせいか(笑))、ポニテのまま大和に夕食を出すのもかわいい(笑)。



★第69膳 タイム・リミット


爪を切りながら母親と電話する大和だが「八雲さんに伝えたの? 適当にしちゃ駄目だからね」という言葉には「わかってる」と真剣に、あるいはどこか深刻に応じる。


職場で初めての給料をもらう八雲さん。
金額が多いことにいぶかしさを覚える八雲さんだが「アンタが来てから繁盛してね」と臨時ボーナスをつけてくれた店長。


その日の夕方、アパートの自室でダダ泣きしている八雲さんだが、臨時ボーナスのためではなく、玉ねぎすりおろしのせい(帰ってきた大和の目に染みるほど(笑))。
じっくり丸々2ページを使って「ご飯の親友」しょうが焼きの調理シーン(笑)。


「いただきます」とともに、いつものように暴食に入る大和(笑)。
しょうが焼きにマヨをつけて、キャベツを巻いて一口。
それだけでご飯一杯を食べきる(笑)。


肉一枚でご飯一杯のペースはさすがの八雲さんも想定外(笑)。
懸念してた通り、6.5合炊きの炊飯器があっという間にカラに(笑)。


あわてる八雲さんだが大和は「あ、了解っす」と軽いもの(笑)。
いつも以上の食欲の理由に思い当たらない八雲さんだったが、大和の「白米がめっちゃうまかったような…」という答えに真実驚く(笑)。
というのも今夜は初任給が出たのでいつもよりワンランク上のお米を使っていたのだ。


八雲さんの驚きは、約一年前、餌づけ初期の頃、大和用に「おいしくたくさん炊ける高い炊飯器」に買い替えたのに、まったく気づいてもらえなかった経験があるためで(第一巻 第2膳 八雲さん、炊飯器を買う。)、今明かされた事実に大和も「当時はカップラーメンとかばかり食ってたから舌がバカになってたのかも」と自分に驚く(笑)。


そんな話に笑いながらりんごを剥き始める八雲さんに、少しの間ができた大和は、意を決して母親に念を押されたことを告げようとする。
だけどその大和の機先を制するように、八雲さんが切り出す。

「そういえば大和クン。4月にはこのアパートを出ていくの?」

言おうとしてなかなか言えなかったことをズバリ言われて愕然とする大和に、りんごを剥きながら八雲さんは続ける。
大和がこのアパートにやってきたのは入学が遅れて寮が埋まって入れなかったためで、三年生が卒業して退寮すれば当然大和が入る部屋が空くだろうから――と。

そんな八雲さんに大和も一言で答える――「…3月末から」。


「そっかあ。じゃあご飯作ってあげられるのもあと2か月だ。これで野球漬けだね」
剥いて切ったりんごを出す八雲さん。それを食べる大和。
「りんご美味しい?」
「…うまいっす」
「そっか。よかった」


その夜。
どうやら大和の答えに動揺して指を切っていたらしい八雲さん。
自分で手当てをしてから声や表情にはそれを出していなかっただろうか、涙を浮かべながらダンナさんの遺影に語りかける。

「さみしくなるけど、仕方ないよね」


――物語の最終コーナーへ、本当に大きな大きなターニングポイント。
実は連載当初は大和が卒業するまでの三年間の物語だと勝手に思い込んでたんですよね。
それにしては大和の八雲さんへの心情の変化とか進みが早いなといぶかしさも覚えていたんですが(2年生あたりからだと思ってた)、「大和の事情を考えれば2年になったら出て行くが自然な流れだ」と遅ればせながら途中で気がつきまして。
でもまだまだずっと続いてほしいと思ってたから、この予想はハズレてくれた方がよかったんですが…



FMえどがわでは「あの日が再び舞い降りて」という、とにかく昔の歌を流しまくる番組というか時間帯があります。
これが30年以上前の歌が多いのでいろいろ刺さることが多いんですが、今日の夜7時からのは中でも刺さるのが多かった(笑)。


キャッツアイ
僕笑っちゃいます
メリーアン
冬のリヴィエラ


などなど、それぞれの歌や歌い手の大ファンというわけではないにしても、ヒットしたものばかりだからね、きっちり脳内に刻み込まれているので聴くだけで刺さる(笑)。


特に「メリーアン」なんて何年ぶり、下手すると十何年、二十年ぶりくらいに聴いたかもしれない。
最初にラジオからイントロが流れてきたときわからなかったけど「♪夜露に濡れる」と歌が入ったところですぐ気づき、「え、メリーアンってこんなゆっくりした曲だったっけ?」と一瞬耳を疑ってしまいました。
アルフィーの歌ってもうちょっとスピーディーなものが多い印象だったから、「メリーアン」も自然とそのイメージになってたんだろうな。
これが最初に聴いたアルフィーの歌だったのにね(笑)。


「僕笑っちゃいます」もなあ、これはレコード持ってた(笑)。
「週刊欽曜日」はメチャ楽しかった。


先週フジテレビで「鬼滅の刃」の総集編的なものが放送されていて、ツイッターも実況で盛り上がっていましたが、中でも「サイコロステーキ先輩」なる単語がひしめいていて、ついにはトレンド1位になってたのには笑った(笑)。


ぼくは「鬼滅の刃」はまったく観てなかったんですが、この前アニマックスで放送してたのを偶然ちょっと観たんですよね。
で、それがちょうどサイコロステーキ先輩の登場するシーンだったので、彼のあだ名(?)の理由もすぐにわかって、そこでも笑ってしまいました(笑)。


それにしても付けも付けたりというあだ名だけど、そのあたりが絶妙だからこそみんなのツボを突いて浸透したんだろうな。


ただあの手の武器となると、ぼくは秋せつらの千分の一ミクロンの妖糸を思い出してしまいますが。
あれに比べると糸も太いし技も荒いけども、まあせつらは糸が武器で顔が兵器だからな(笑)。


このページのトップヘ