みなさん今年もどうもありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いします。
大みそかなのでそれらしい挨拶から始めてみましたが、日記の内容はそこにあまり即していません(笑)。
例年の大みそかの日記を読み返してみると、他に書くことがないのか、そのとき読んでる本について書いてることがほとんどですが、今年も同様です。
ただ今回は自分にとって重要で、いろいろ趣や思い出に深い作品の話になっています。
田中芳樹先生の「創竜伝」最終15巻。
年末、12月26日に手に入れ、今日までゆっくり読んで、読み終えました…
ここから先は自分語りが長々と続くので、めんどくさい人はスルーしてください(苦笑い)。
ぼくが田中芳樹先生の作品に出逢ったのは高校三年生の時で、ちょうど「銀河英雄伝説」が完結したころでした。
いや、完結とは微妙に意味合いが違いますが、銀英伝は最初の新書版が「本編10巻・外伝4巻」で終わってるんですね。
で、最後の外伝4巻「螺旋迷宮」が発売された頃にハマったんです。
つまり次巻を一切待たずに一気に最後まで読破できた、大変幸運なタイミングでの出逢いだったのです(笑)。
まずは銀英伝にガッツリハマったんですが、そこから田中先生の他の作品に怒涛のようにハマってゆきます。
「アルスラーン戦記」「創竜伝」「マヴァール年代記」「夏の魔術シリーズ」「タイタニア」「自転地球儀シリーズ」「灼熱の竜騎兵」「七都市物語」などなど、カネもないのに読めるだけ買えるだけ手に入れていましたね(笑)。
そして20代の10年間は、とにかく田中先生の作品をローテーションで読みまくってたような気がします。
実際はそんなことはないけど、印象としては、田中先生の作品を読まない日がなかったと感じるほどに。
ぼくは昔から濫読はほとんどせず、気に入った作品を異常なほどしつこく読み返すタイプの読書人でした。
これは幼児の頃からで、夜、寝る前に親が本を読んでくれるというとき、毎日かならず「ぐりとぐら」を持ってきてたそうで、親の方が心底うんざりしていたらしい(笑)。
暗記するほど読み返させられて、親が自分が飽きないようにするため、セリフ回しとか演出とかいろいろ考えて読んで聞かせてたそうで(苦笑い)。
だから誇張ではなく、田中先生の作品は何度も何度も、それこそ銀英伝なんか数えきれないほど読み直してたんじゃないかなあ。
下手すると数十回は読んでる気がする(苦笑い)。
他の作品も合わせると、それこそ延べでは数千冊分は読んでるかもしれない。
文章というのは書くことも大事だろうけど、読むこともすごく大事で、おそらくぼくの文章の核は、このときに作られたんじゃないかと思っています。
それ以前も本は読んでいたし、それ以後も読んではいたけど、「反復練習」という意味では、田中先生以上に読んだ作家さんは他にいない。
だからぼくは自分の文章が田中先生の亜流だなという自覚もあります(苦笑い)。
最近はその辺はかなり薄れてきたかもしれないけど、それこそ核は変わらないというか。
ドラゴンボールの悟空にとっての亀仙流みたいなもんです(笑)。
で、少し話は変わりますが。
あくまで個人的になんですが、「銀河英雄伝説」「アルスラーン戦記」「創竜伝」が田中先生の「三本柱」だと思ってます。
なにしろ数が多い。
「銀英伝」は本編全10巻・外伝4巻、「アルスラーン」は全16巻、「創竜伝」が全15巻で、他の完結している作品と比べても「マヴァール年代記」全3巻、「タイタニア」全5巻、「夏の魔術シリーズ」全4巻と、突出して巻数が多いんですよね。
他の作品も一応続刊ではありますが、おそらく書かれる可能性は低いし、また書かれるにしても10巻も続くことはまずない(苦笑い)。
例外は「お涼サマ」で、あれは10巻以上いきそうだけど、田中先生の中でも世代違いで「新支柱」って感じが強いから(笑)。
で、それが「創竜伝」15巻をもって、三本柱すべてが完結したことになるんです。
これは意外と自分にとって感慨深くてねえ…あるいは寂しくてというか。
なにしろ20代(正確には18歳)から、ずーっと読み続けて、未完で終わる覚悟もありつつも、中断期も「続いている」という感覚は常に残っていたんですよね。
それが「アルスラーン」が完結し、「創竜伝」が終わって、30年以上心のどこかにずっと立っていた「柱」がすべて取り払われてしまったわけで…
陳腐な表現になりますが、何か心のどこかにぽっかり穴が開いてしまったような感覚ができてしまったような…
…と思ってたんですが、読み終えた今、そこまでの感覚がないことに気づきました(笑)。
それがなかなか、「創竜伝」の終わり方がよかったもので(笑)。
こっからは「創竜伝」15巻のネタバレ、けっこう入りますよ。
たぶん「おれたちの戦いはこれからだ!」で終わるかなと思ってて、実際その通りだったんですけど、それがいかにも竜堂兄弟らしいというか、創竜伝らしいというか、そういう種類の終わり方だったので、なんかすごく納得したというか、こちらの気分的にもスッキリ終われまして(笑)。
「始めて続いて終わって余る」。
本編が「終わった」後、「余る」部分がやたらと長い、永遠ともいえる追撃と戦いになるわけだけど、なんかあの四兄弟はいつまでも変わらず、彼ららしく戦っていくんだろうなと感じられて。
別の宇宙に行って、いろいろやってきて、たまに仙界に普段通り帰ってきて、また別の宇宙へ出かけてゆく。
それを数億年、十億以上の別宇宙(異世界)へちょっと遊びに行く、旅行に行く、くらいの感覚で、それぞれの宇宙で大冒険や大活劇を繰り返し続けていくんだろうな。
それこそ十二巻の外伝のように。あのまま兄弟漫才を繰り広げながら(笑)。
そう思うと「創竜伝」は読者であるぼくらの中ではずーっと終わらない作品になったような気がして。
それこそ幻の妹「未完ちゃん」まで生まれたようにね(笑)。
そんな風に思えたから、覚悟していた寂しさをほとんどまったく感じずにすみました(笑)。
それこそ十億世界だからなあ。座談会で言ってたように外伝も十億冊分想像できるわけで(笑)。
その他にも仙界での出来事や、人界の三悪人の活躍(暗躍?)なんかも含めたら、どれだけ想像できることか。
そんな妄想を繰り返すだけで、全然寂しさは感じないですよ。
その他のことでは、最終巻でここまでオールスターが出てくるとは思わんかった(笑)。
まさか花井夫妻まで出てくるとはなあ(笑)。
そしてなにより重要。主要人物があまり死ななかった(苦笑い)。
いや14巻でかなり死んでたし、それに「アルスラーン戦記」の終わり方を思うと、ちょっと怖かったんですよ。
竜堂兄弟に死なれたらやっぱり相当ショックで。
でも「創竜伝」らしい死ななさぶりで、本当によかった。
そんな中、竜堂兄弟以上に死ななそうで、でも死ぬしかなかった人が死んじゃったなあ。
天使のなっちゃん。
コメディリリーフとして圧倒的な存在感はあったけど、黄大人をはじめ、あまりにたくさんの人を殺しすぎてきたからなあ…
そしてやはり竜種の血を飲んでいたからこそのパワーだったか。
とはいえ劇薬ともいえる竜種の血を、わずか半年そこそことはいえあそこまで使いこなせていたのは、やはり親父さんよりずっとすごかったな。
あと天野喜孝先生、さすがに挿絵はなくて表紙だけだったけど、そこになっちゃんがいないか探してしまいました(笑)。
先生のお気に入りのキャラだったそうだから、最後にもう一度描かれるかと思って(笑)。
でも表紙だけでも天野先生の竜堂兄弟が最後まで見られて本当によかった…先生も本当にどうもありがとうございました。感謝します。
まだまだ思いつくことはいくらでもあるけど、ずいぶん長くなったし今日はここまでにしようかな。
また気が向いたら書いていくことにしよう。
あ、最後にもう一つだけ。
それにしてもこの終わり方、これからのドラゴンブラザーズの戦いって、あの不評だったOVAのイメージに近くないか?(笑)
おれもあれはないと思ってはいたんだが、ここで田中先生が救済してきたか?(笑)
ではまた来年! よろしくお願いします!