サクラと紅茶

日常のことを書いていきます。 物書き志望でもあります。 第2回富士見ラノベ文芸賞 一次選考通過

タグ:アオイホノオ

なにげなく区内図書館の蔵書をネットで眺めていたら、20年ほど前の島本和彦先生の同人誌が二冊(「燃えよペン マンガ力指南編」「燃えよペン マンガ力指南編2」)置いてあるのを知ったんですよね。
読んだことがなかったので借りてみました。


内容はタイトル通りで、島本先生のマンガ「燃えよペン」の主人公・マンガ家のホノオモユルがアシスタントの森林にいろいろマンガの指導をするお話なんですが、やはりおもしろかった。


が、あとがきで島本先生が書かれていたように、これは「燃えよペン」本編の一エピソードである「熱血指南炎上編」の続きで、ぼくも当然「燃えよペン」はリアルタイムで読んでいた世代(「燃えよペン」はマンガ家・ホノオモユルが様々に襲い来る困難と相対しながら原稿や締め切りと戦う物語。ホノオ≠島本和彦であるらしい(笑))。
だから読みながら感覚が当時に戻るんですが、内容が指南編であるためホノオ=島本先生のデビュー当時のマンガの裏話も書かれてたりするんです(「炎の転校生」の冒頭がいきなり爆発で始まる理由とか)。
それはつまり、作中よりさらに20年くらい前の話(「炎の転校生」は今から40年くらい前の作品)になるわけで、これもリアルタイムで読んでただけに、感覚がその時代にも戻る。


そしてさらにややこしいことに、現在島本先生が連載している「アオイホノオ」の内容が、今まさにこの「炎の転校生」連載開始時の話で、ちょうど先週発売された最新17巻に「爆発になった経緯」等の内容も描かれているんですよ(「アオイホノオ」は「燃えよペン」よりさらに前、ホノオモユルの大学時代からの物語)。


だから意図せず偶然に「40年前」「20年前」「今現在」を同時に体感することになってしまい、しかも「40年前をリアルタイムとして(アオイホノオ)」「40年前を過去のこととして20年前をリアルタイムに(燃えよペン)」と、同じ事柄をいろんな時間や角度から見たり感じたりしているため、脳が軽く混乱してしまっているんですよ(笑)。


もちろん深刻なものじゃなく、あくまで軽くではあるんですが、なかなかこういう体験は味わえないので、とても楽しく得した気分になっています(笑)。


ちなみに「熱血指南炎上編」は「起承転結激情編」「オリジナルアニメ制作編」と並んで、「燃えよペン」の中でもベストエピソードの一つと思っています(笑)。





ゲッサンで連載中の島本和彦版まんが道こと「アオイホノオ」。数か月の休載を挟んで今月号から再開されました。


ネタバレ入りますので注意です。




「アオイホノオ」は漫画家(orアニメーター)を目指す島本先生の大学時代からを描いていた自伝的マンガ。
もちろん誇張してたりフィクション部分も多いですが、いろいろ大変おもしろいです(笑)。
主人公のホノオが、通っていた大阪の大学を中退して新人漫画家として東京へ進出するところまでを「第一部」、今回からを「第二部」として再開されたわけですが、上京初日から大変だったんだなあ(笑)。


この段階でのホノオは月刊増刊サンデーで連載を持っていますが、上京早々、週刊サンデーでも連載をすることになります。
これこそが島本先生の出世作「炎の転校生」。
様々なマンガやアニメや特撮のパロディが散りばめられ、さらに島本先生一流のセンスによるギャグや展開がてんこ盛り。
ぼくもこの作品で島本先生のことを知りましたが、第一話から鷲づかみににされました(笑)。


当時ぼくはまだ小学生(島本先生のちょうど10歳下(照))。
あの頃のぼくの感覚では「週刊少年〇〇」の類は、もうちょっと大人が読む雑誌だと感じてたんですよね。
ぼくらはまだまだコロコロやボンボンのメインターゲット(笑)。
ただ例外はギャグマンガで「ドクタースランプ」は感性的にどストライクになり、「炎の転校生」もその部類に入りました。


鷲づかまれたからには小学生ながらちょこちょこ読むようになった「炎の転校生」ですが、これを描かれてた頃の島本先生≒ホノオモユルがどんな状態だったかを教えてくれるようになるここからの「アオイホノオ」。
当時の感覚がよみがえってリンクして、これまでと少し違う楽しみも覚えているところです(笑)。






「アオイホノオ」17巻の特別版にはゲッサンで企画された「アオイホノオ被害者の会」に
「支援者の会」を加えた小冊子がついていたけど、あらためておもしろかった(笑)。


中でも個人的に一番ツボだったのは原秀則先生だな。
「アオイホノオ」本編で学校の校舎を描くことにプレッシャー(めんどくささ)を感じていたホノオが、原秀則先生が建物の一部だけを描いてごまかしていた(?)のを見て勇気を得たエピソードに対し、しっかり校舎全体を描いてきたセンス。
ピンポイントに急所を打たれました(笑)。


本編を読んでいて感じたのは、他の先生方に対してのホノオの暴言は、
暴言のように見せて実は敬意を示していたり、
また暴言を吐いたホノオの方がわかってない、勘違いしている、身の程知らずでみっともないというのを表していて、決して本物の暴言じゃないんですよね。


だけど原先生に対してだけは本物の暴言が混ざってるように見える(笑)。
それもかなり(笑)。
よくは知らないんですが、島本先生と原先生は、
たぶん本当に友達同士で仲がいいんだろうな。
デビューは原先生の方が早かっただろうけど、ほとんど同期で年齢も同じ。
この当時、マガジンでは小林まこと先生と大和田夏希先生が本当に仲がよく、
自分のマンガの中で相手をこきおろしたり、
目次の著者近況でも悪口の応酬をしてましたが、
それと似たようなものなんでしょう。
小林先生と大和田先生(と小野新二先生)の仲の良さは
小林先生著「青春少年マガジン1978~1983」に詳しいです。


しかし「支援者の会」の矢寺圭太先生のマンガで、
今の若い衆は島本先生のことを知らないのも増えてきたと知り、
それは寂しいしもったいないなあと感じています。
読む機会があったら今の若い衆でもハマるヤツはいくらでもいるだろうに。


布教活動するなら、入門編は「逆境ナイン」あたりがいいのかなあ。
普通に(?)「アオイホノオ」が一番いいのかもしれないが。
「炎の転校生」を読ます場合は、ちょいちょいセリフを変更するのもいいかも(笑)。
「先生が松本伊代と結婚しろと言ったらするのか!」は
どのアイドルに変えるのがいいのかな(笑)。
あと「滝沢国電パンチ」は「滝沢JRパンチ」にしとかないとね(笑)。
「柿沢E電パンチ」がわかる人とはいい酒が飲めそう(笑)。


島本 和彦
小学館
2016-10-12


島本和彦先生の「アオイホノオ」16巻が発売されたので、さっそく購入しました。

ネタバレ入ります。
ゲッサン今月号のネタバレも入ります。



前巻でデビューが決まったホノオ。
今巻でついに増刊サンデーに掲載され、プロデビューを果たしました。
でもマンガ家の「デビュー」って雑誌に掲載されるだけで、
特に周囲(身内以外)が華々しく祝ってくれたりするものでもないんだなと、
今さらながら実感しています。
考えてみりゃそりゃそうなんですが、
なんとなくマンガ家デビューって「勝ち組」ってイメージだから、
ついつい無意識にもっと華々しいものを想像してたんだな(照)。


ホノオも生活そのものは、担当の三上さんから連絡が来たり、
掲載される予定のある原稿が描けたりするだけで、
基本はこれまで通り普通の大学生のまま。
島本先生=ホノオだとすれば、その大学生活ももうすぐ中途で終わるわけですが。


そして担当から突然告げられた連載(原作付き)の話に心底からビビるホノオ。
わかる(笑)。
雑誌掲載時の感想日記にも描いたけど、
http://suntu500.blog.jp/archives/1060276089.html
何度か読み切りが載ったりして自分の中で準備ができてればまだしも、
まだデビュー作と二作目だけでいきなり連載は、
うれしいより恐怖の方が強いよなあ(笑)。

デビュー前、
完全素人のときは編集から電話がかかってくるだけで天にも昇る気分だったけど、
これは天(空)を突き抜けて宇宙にまで上がりすぎ、むしろ苦しい。
下手すると死ぬという気分。
この喩えが抜群にわかりやすい(笑)。さすがカズ島本(笑)。


しかも原作担当が「美味しんぼ」の雁屋哲先生ときたもんだ。
そりゃ反射的に「どうやって逃げる?」って考えますよ、フツー(笑)。


しかし現実としては逃げずにやってきて、
「風の戦士ダン」って初連載作品を描くわけですが(笑)。
じつはぼく、この作品読んだことがないんですよね。
ぼくが島本先生を知ったのは初のオリジナル週刊連載「炎の転校生」からだし、
なかなかそれ以前の作品って見つけにくいものですから。


そして今日発売の「ゲッサン」でも雁屋哲先生との会談は続く(笑)。
なんだかわからないままで終わり、
原作をもらい、
若き出渕裕のメカ設定ももらい(笑)、
新谷かおる先生への一時的な師事も決まる。
途中で終わった「燃えよペン 第二部」では氷山一角先生かな(笑)。
ネームでぶん殴るんだろうか(笑)。


でもなあ、ホノオもとうとうデビューしちゃったし、
「アオイホノオ」もそろそろ終わりに向かってるんだろうなあ。
やっぱりなんだかんだでプロとして自立しちゃったら「蒼い」感じも薄れてしまうし、
そこから先はそれこそ「燃えよペン」「吼えろペン」の世界の話だからな。
たぶん大学を中退して
「炎の転校生」の連載がはじまるあたりで終わりのような気はする。
仕方ないとはいえ、それはすごく寂しいなあ。


でも「アオイホノオ ~プロ初期編」として、
プロとして自立してしばらくの話も読んでみたいかな(笑)。
初連載でどんなことがあったのか、
完結したあと何をしていたのか、
次の連載のときはどうだったのか。
それだけでなく「連載以外の仕事」「はじめてアシスタントを雇ったとき」
「はじめて自宅以外に仕事場をかまえたとき」
「プロとしてやってけるようになって周囲の反応はどうだったのか」などなど、
知りたいこと、読みたいことはいくらでもある。
あとトンコさんとその後どうなったかっていうのも知りたいが、
大学中退して上京してしばらく経ち、
音信不通になったっていうのが一番可能性が高いかな(苦笑い)。

今年の夏コミでは「シン・ゴジラ」とも相まって
「ウラシマモト」が大人気だったらしい島本和彦先生。
上映会でも盛り上がったようで、もうあの人には一生ついていくという気分のワタシです(笑)。

でも「ウラシマモト」も買ってないし、ファンと言っていいかどうかは微妙だな(汗)。
いちおう、「炎の転校生」とか「逆境ナイン」とか「吼えろペン」とか「アオイホノオ」とか全巻買ってるし、
その他単発の単行本もちょいちょい買ってはいるんだけど(汗)。


その「アオイホノオ」も最近はこれまでと違った様相を呈してきてるな。
ネタバレも入るのでこの後は注意でお願いします。


賞を取ってプロデビューを果たしたホノオだけど、
周りの友達もそこまでチヤホヤしてくれるわけでもないし、
大学にはこれまで通り通っているし、
実生活がさほど劇的に変わったわけでもない。
担当さんがついて次回作の打ち合わせはしているが、
電話だけのため、やはり表面はさほど変わってるようには見えない。

でもやはり水面下では、これまでと大きく変わっていた。
まさかこうまでいきなり連載が決まるとはなあ。
そしてそれに対するホノオ自身の反応が、
「うれしい」より「困惑」「恐怖」というのもとてもよくわかる(笑)。

そりゃそうだよなあ。
誰でも入れるわけではない難関のスイミングスクールにようやく入れて、
これから徐々に力をつけて本格的なスイマーになろうと思ってたら、
泳ぎ方もほとんど教えてもらわないまま、
いきなり激流に放り込まれるような感覚だよ、あれは(苦笑い)。

もっとも出版社は「スクール」や「稽古場」ではなく、
いきなり本番の「土俵」を用意するところだから、
それも当然なんだろうけど、ぼくも含めたシロウトの感覚からすると、
やはり多少はスクール的なものがあって、その上で連載とか考えてしまうよ。
甘いとか覚悟が足りないとか言われようと、やはりどうしてもね(苦笑い)。
特にホノオ(とかぼくら)はアシスタントの経験もなく、
マンガ界、出版界の常識をまったく知らない状態で入っていったからなおさらなあ。


でもきっと、ホノオはものすごく運がいいんだろう。
なんにせよ、とにかくいきなり連載が取れたんだから。
きっと連載が欲しくても欲しくても得られないマンガ家の方がずっと多いんだろうからなあ。
でもそんなことを考える余裕もないだろうが、ホノオは(笑)。

「舞い上がって空へ浮かぶ」のと「成層圏を越えて宇宙まで飛び出す」のでは
事情が違うという喩えは、本当にうまいと思うですよ(笑)。

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