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「日本はボール扱いがうまい」のに勝てなかった理由を30年越しで理解した
象徴的に感じる静岡学園優勝とU-23代表敗退
だけどJリーグができてサッカーが全国規模で盛んになると、なかなか勝てなくなってくる。
これは別に静岡のレベルが落ちたわけではなく、周囲のレベルが上がってきて、相対的に静岡の優位性が薄れてきたからなんだろうな。
そのことでプライドもずいぶん傷つけられただろうけど、腐らずしっかり強化を続け、四半世紀を経て、また頂点まで登ってみせたのは純粋に感嘆してしまうよ。
今回優勝したからといって、また以前のように静岡が突出して強くなることはないだろうけど、それでも今はてっぺんで振り向き「下に向かって」静岡王朝ここにあり!と健在ぶりを大々的に誇るのは全然ありだよな。
逆に昨日はU-23アジア選手権で日本代表が連敗し、グループリーグ敗退が決まってしまった。
東京オリンピックの予選も兼ねてる大会で、開催国として出場が決まっている日本はそもそもモチベーションが維持しにくかったり、その他もろもろの理由や事情もいろいろあったんだろうけど、それこそJリーグが発足して以来初の屈辱だ。
ネット上でも森保監督解任とか叩かれまくってるが、解任されるにしろ留任するにしろ、こんなのはオリンピック本選で結果出せば、「焼き土下座」とか言って都合よく自分たちで水に流して簡単に掌クルックル返すだけのことだし、出せなければさらに叩かれるだけのことで、これまで何度も繰り返されてきた話だ。
ただこの結果には、別に思うところがあります。
Jリーグ設立前の日本はオリンピックに出るのも難しかった。
これは当時のアジア全体のレベルが相対的に日本より上だったことを意味しているけど、今回の敗退は日本の突出を許してきたアジア全体が、またレベルを持ち上げてきたことを象徴する結果なんじゃないでしょうか。
決して日本だけに問題があるわけじゃない。
それはアジア各国の強化に対して失礼ってものでしょう。
四半世紀突出してきた日本がアジアで埋もれはじめた次の日、四半世紀埋もれてきた静岡がまた這い上がってきてみせた。
これはなかなか象徴的だなと。
だけど同種のそれを戦い抜いた静岡の姿は、日本の勇気の源泉になりうる。
その意味でも静岡は、やはり日本の「サッカー王国」だなとあらためて感じます。
南野も半端ない(笑)(アジアカップ2019準決勝・イラン戦)
相変わらず「おれが観たら負ける」感があるため日本戦に限ってライブでは観られてませんが(笑)、事実上の今大会決勝戦と言われながら下馬評ではイラン有利がほぼ公言されていた準決勝。
まさかの3-0で日本が勝ったねえ(笑)。
これにはみんなビックリ。ぼくももちろん(笑)。
もっともビックリというと選手に失礼かな。
なんにせよ決勝進出はとてもうれしい、ありがたい。
先制点が大きかったというのはぼくが見ても思いました。
試合展開そのものにとっても大きかったけど、取られ方も、取られたこと自体も、イランには大きかったんだろうな。
なにしろイランはもともと守備力で売っているチーム。
この前のワールドカップ・アジア予選でも、ほとんど失点のないまま本大会までたどり着いたし、アジアカップもここまで5試合無失点。
だけど完璧すぎる実績だけに、失点した時のメンタルには少し不安はあったかもしれない。
それに加えて取られ方が最悪だった。
アクシデントみたいな失点ならまだしも、完全に自分たちのせいで取られちゃった点だからなあ。
崩されての失点の方がまだマシだったかもしれない。
厳密に言えば、あれは南野のシミュレーションだろうし(苦笑い)、厳格に判定すれば「シミュレーションをやろうとした」ということで南野のファウルでイエロー出されても仕方なかったかもしれん。
だけどあの手のシミュレーションを厳密に取ってたら、困るのはむしろ中東のチームだろうからな(苦笑い)。
だからたいていはあの辺はグレーゾーンで審判の判断の範疇に入ってしまう。
ただ南野が倒れた後の行動は、ナショナルチームに選ばれるほどの選手なら恥以外のなにものでもなかった。
南野が倒れると同時に(それがペナルティエリアギリギリの位置でPKを取られる怖れがあったにしても)、彼と競っていたイランの選手は「(身体は)当たってない当たってない」と審判を見ながらアピールし、他にも四人のイラン選手が審判に詰め寄る。
これが審判が笛を吹いてたならアピールもアリだろうけど、吹いてない。インプレー。
「笛が鳴るまで絶対にプレーを止めるな」は勝負事としてのサッカーにおける鉄則の一つで、これは選手だけでなくファンやサポーターの中ですら共通の認識だ。
それを五人も同時に破っちゃったんだから話にならない。
南野が素早く立ち上がってボールに追いつき、それを見た大迫がものすごい勢いでゴール前まで上がってきてクロスを要求する。
審判へ詰め寄っていたイランの選手たちもそのことに気づき、あわてて南野へ一人、ゴール前へ三人が殺到するけど、南野はすでに大迫を確認、素早くクロスを入れる。
ゴール前へ走った三人も完全に混乱していて、三人ともがニアに入ってしまい、真ん中へ入った大迫には誰もつかず、頭上を越えてゆくボールを見送るだけ。
でも後から見ると結構ピンポイントだったよな(汗)。
三人のDFの後ろと、飛び出してきたキーパーの前。
このほんのわずかしかスペースがなかったわけだから、そこに正確なクロスを上げた南野も、的確に走り込んできっちりヘッドを決めた大迫も、やはりただ者ではなかった。
ただ、喜ぶ日本選手の後ろのイラン選手たちを注目してたんですが、やはり大したもんだ、油断できんなと感じました。
ああいう失点シーンのとき、アジアの中位以下にいる国だと、あらためて審判に詰め寄ってると思うんですよね。
「あれは9番(南野)のシミュレーションだろ! その後のプレーは無効だ! 得点を取り消せ!」って。
だけどイランの選手たちは一様にうなだれてピッチを歩いていた。
あれはシミュレーションはともかく、完全に自分たちの「ミス以上のミス」で失点したということをすぐに理解してたからだと思います。
南野は倒れてたんだから、もしイランの選手がアピールなんぞせず、そのままボールを追ってれば難なく確保できて(あるいはそのままゴールラインを割って)、何事もなく流れていったシーンでした。
それをサッカー選手にあるまじき「鉄則」を忘れてアピールに走るなどという大失態。
他人を責めるより自分たちを責めるのに手一杯で、その様子がありありと見て取れました。
その辺の意識の高さが並のアジアチームとは違うなと。
でもあれも、勝利のために必死すぎたっていうのもあるんでしょう。
宇都宮徹壱さんのコラムでもちょいちょい書かれてたけど、イランのアジアカップ最後の優勝は43年前で、相当な悲願になってたみたいだからね。
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201901290001-spnavi
https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201901280001-spnavi
しかも今のイラン代表は自他ともに認める「アジア最強」。
イラン国民の期待値も半端なかっただろうし、プレッシャーもこれまた相当なものだったろうしな。
それほどの重圧の中、絶対負けられない大会での初失点。
それも自分たちのミス以上のミスでの失点で、しかも相手は格下どころか同格の日本だ。
ショックもデカいし逆転への困難を思えば、心が折れてもおかしくない失点だったろう。
それでも一失点。
残り時間も多くはないけどまったく無いわけじゃない。
逆転は難しくとも同点は充分可能だし、そうなればどうなるかまだわからない。
その思いがあったからこそ、あそこで完全に切れることなく試合も続けられたんだろうけど…
二失点目は確かに気の毒だったな。
腕に当たったのも意図的でないのは見ててわかった。
だけど当たって大きく跳ね返って、完全に「クリア」になっちゃってたからねえ。
仮にあれがちょっとコースが変わったくらいで、しかもそのボールが日本選手に渡ってたら審判も流してくれて、そのまま試合は進んでいったかもしれないが、実際には南野のパスの先には大迫もいたし、ペナルティエリア内で当たった腕で「クリア」になっちゃったら、それはもうPK取られても致し方ない。
それがわかってたからイランもそこまで激しく抗議はしなかったんだろう。
VARもあったしね(苦笑い)。
それでも何とか気力を振り絞ってイランも攻めてはいたが、三失点目はさすがにキツい。精神的に。
その後は乱闘の混乱もあり、そのことでもイランは非難されていたけど、よく考えてみるとあれってイランのエース、アズムン一人が切れちゃってただけじゃないかな?
大迫の足を踏んだのも、柴崎の顔をはたいてたのも、どっちもアズムンだったし、乱闘になれば事の正否はともかく味方を助けに参加しなくちゃならないのはイランだけじゃなく、どの国のどのチームも同じだし。
日本の選手も大部分は「冷静に怒」ってたり、他の選手をなだめてたりしたし、イランの選手も完全には切れてなかったように思う。
完全に切れてたら、ブン投げたり跳び蹴りしたりするヤツがサッカー界にはいるとわかってるし(苦笑い)。
まあそこまで極端じゃなくても、乱闘もかなり早く収束してたし、見た目ほど深刻なものじゃなかっただろうと思います。
アズムン以外は。
アズムンはイランにおける絶対のエースだけど、まだ24歳とかなり若い。
それなのに聞くところによると、ロシアW杯が終わったあと、一度は代表引退を宣言したそうだ。
理由は母親がイランサポーターから中傷を受けたからということらしいが…
細かな事情はわからないから真相がどうかもわからない。
また絶対的なエースゆえに最もプレッシャーを感じていたのかもしれない。
でもそういう選手があそこまで未熟さをさらしてしまうのは、いろんな意味でイランにとってはよろしくなかったろうな。
ただ逆に、今回のことを強烈な教訓として精神的な急成長を遂げるかもしれないから、本当に何事も一概には言えないな。
さて、なんにせよこれで決勝進出だ。
高みの見物で今日のもう一つの準決勝・UAEvsカタールを楽しめるな(笑)。
しかし日程の公平さもあるし、同じ日に試合をすればいいと思うんだけどな。
まあ興行的な理由もあるだろうし、日本に有利な日程だからかまわないけど(笑)。
しかしカタールにせよUAEにせよ、ここまで上がってくるのは意外ではあった。
個人的にはなんだかんだでベスト4は、日本・イラン・韓国・オーストラリア・サウジアラビアの「ワールドカップ組」で占められると思ってたから。
もしどこかが脱落するにしても一カ国だけとも思ってたんだが…まさか二カ国も落ちるとは(苦笑い)。
もっともこれは、完全に自分の考えが甘い、ヤバい、ということだろうけども。
まだまだアジアの勢力図が書き換わっているのがわかってないってことだから。
とはいえ、上に挙げた五カ国以外というのなら、むしろ順当といえるラインナップだ。
個人的にはカタールもUAEも「正しい強化」をおこなってる国に見えるから。
タイやベトナムもそうだけど、実績や強化にかけた年月においてまだ彼らには及ばないからね。
それだけにどっちが出てきてもヤバいのは自覚しておこう。
カタールは今大会、イランと同じくいまだ無失点。
北朝鮮というボーナスステージがあったとはいえ(苦笑い)、得点数もここまで5試合で12だ(現時点の得点王もカタールのアルモエズ・アリで7得点)。
組織的な守備とシャープなカウンターが強力で、しかもコジャレたパスやシュートも織り交ぜてくる。
簡単には守れないし、簡単には得点できないのは確実だ。
さらに言えば、今回ほとんど「予言者」になってるシャビの挙げる優勝チームだしね(苦笑い)。
いやホント、当たりすぎて不気味なんだよ、こうなると(苦笑い)。
とはいえさすがに百発百中というわけではないし、なにより今シャビはカタールリーグに所属してるわけで、ちょーっとはリップサービスも入ってる可能性もなきにしもあらずだけどね(苦笑い)。
まあそもそも今夜カタールが負けたらそこまでだし、とりあえず試合の結果を見てから不気味がろうか(苦笑い)。
で、カタールが負けたらUAEが出てくるわけだけど、だからってラクなわけでは全然ない。
今大会では絶対的なエース、オマルがケガでいないというのに、苦しみながらもここまで上がってきた。
そもそもいくらオマルがスーパーな選手でも、ベースになるチームが弱かったら彼も力を発揮できない。
培ってきた実力はオマーン以上かもしれず、なにより開催国で絶対的なホームアドバンテージがある。
さらに日本は前大会、PK戦とはいえUAEに負けてるし、ワールドカップ予選でもホームで負けちゃったりしてる(汗)。
も一つ加えてUAEの監督は、ブラジルW杯まで日本代表を率いていたザッケローニさんだ。
いろいろと不安要素は多いのだ(汗)。
だけどここまで来たらどっちが来ても、日本代表を信じる以外にできることはないけどね。
やること全部やれば、勝てる要素は充分以上にある。
ここまでノーゴールの南野が点を決めて勝てればこれ以上ないエンディングになるが、そういうことを言ってるとヤバいことになるからやめとこう(苦笑い)。
「カタールでもUAEでも日本の方が力は上だし勝てるだろう」ってのは「イランの勝利は確実」と言ってたイラン人記者や、「ベトナムはご褒美」とか言ってた日本のどなたかのことを思えば、苦戦フラグ、下手すれば負けフラグになりかねないからな(汗)。
気を引き締めて、誰が決めてもいいからしっかり点取って、勝とう。
アジアのワールドカップ常連国はヨーロッパ中堅国くらいと考えていいかもしれない
アジアカップ・ラウンド16。
日本はサウジアラビアに1-0で勝利してベスト8へ進出。
ぼくは相変わらず「自分が観たら負ける」感が抜けないので未視聴でしたが(苦笑い)、相当攻められっぱなしだったみたいだ。
日本のボール支配率23.7%は、逆ならともかくアジアではなかなか見かけない数字だな。
ボール支配率=弱いと単純には言えないけれども、意図して持たせたわけではないだろうから、やはり今回は押し込まれたということなんだろう。
公式戦、それもアジアカップという大舞台だけに「勝利こそ至上」で内容は二の次三の次という見方はあり、ぼくもそう思っています。
ただそれでも「アジアでこれで世界で勝てるのか」という懸念もある人はいるはず。
その気持ちもわからないでもありませんが、個人的には、アジア勢に対する認識を調整していく必要もあるだろうなと思っています。
もちろんその辺は誰もがやってるでしょうが、もう少し根本的に調整基準を変更してみるとか、あるいはもう少し大胆に自分の脳内でマイナーチェンジをおこなってみるとか。
アジアっていうとサッカーの勢力図では世界で下の方というのは、おそらく常識になっていて、残念ながら適正な評価だとも思っています。
今回のアジアカップの顔ぶれを見ても、底上げによる地殻変動は起こっていますが、それでも全体的にはまだまだね。
ただアジアでもワールドカップにしょっちゅう出るような国に関しては、少し認識をあらためた方が実状に近くなるようにも感じてます。
最も身近な日本を基準で考えてみると、ワールドカップ優勝をねらえるような強豪国や、それに準ずる国に対してはまだ分は悪いですが、ヨーロッパ予選で調子がいいときに時々本大会へ出てくるような中堅国あたりとは、もう互角に戦える力はあると思うんですよね。
さらにワールドカップの舞台を何度も経験しているだけに、場の雰囲気にそこまで舞い上がることも少なくなって、またサッカーそのものも「ワールドカップに出る」ではなく「ワールドカップで勝つ」を目的に試行錯誤を繰り返すようになっている。
これは当然ながら、日本以外のアジア常連国も同様だと思います。
中東勢といえばカウンター主体のイメージが強いけど、彼らだってそれだけでは勝てないとわかっているから、試行錯誤を繰り返し、新たな力を身につけている。
変化や成長が自分たちだけで、他国がいつまでも同じ位置にとどまっていると考えるのは、ちと虫がよすぎるでしょう。
その意味では、今回のような試合展開が起こるのも、すでに意外なことではないのかもしれません。
最初に書いたように「アジア強豪国=ヨーロッパ中堅国」とイメージすれば、さらにわかりやすく、納得して受け入れやすくなるんじゃないでしょうか。
「アジアごとき」と、これまでのイメージだけで大きくくくってしまったり、逆に「アジアも厳しい」と必要以上に全体を恐れてしまうのも、「敵を知る」という戦いの基本の一つをいいかげんにおこなっている証左と言えるかもしれない。
ぼくはアジア各国に関しては、国・選手・強化・育成・クラブ・リーグなどなど知らないことばかりです。
おそらく日本全体がそうだったんじゃないでしょうか(欧州についてはやたら詳しい人は多そうだけど(苦笑い))。
これまでは日本のサッカーを押しつければそれでも勝ててきたが、おそらくこれからはそんな甘い考えでは勝てなくなってくる。
今はネットも充実しているし、ACLもあるし、情報が入ってこないということはないでしょう。
すべての国を網羅する、というわけにはいかないかもしれないけど、基本的な情報くらいは仕入れておかないと、偉そうにアジアを語ることは許されなくなってきたかもしれないな。